店頭表示金利・特別金利・優遇金利の違い|銀行の金利表示の読み方

種類の違う金利表示を見比べるイメージ

銀行の金利表示に出てくる「店頭表示金利」「特別金利」「優遇金利」は、同じ「年◯%」という形をしていても役割がまったく違います。店頭表示金利はその銀行がその時点で定めている基準の金利、特別金利は期間や対象者を限って基準を丸ごと”置き換える”金利、優遇金利は基準の上に”上乗せ”する幅です。どの種類かによって、適用される期間・満期後に戻る金利・条件を外れたときの扱いが変わるため、数字の大小だけを見比べると受取利息の見積もりを外します。三井住友信託銀行・ドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行)・SBI新生銀行の金利一覧を当編集部が2026年9月11日に確認した実例で、3つの表示を同じ物差しに直す読み方を整理します。

目次

店頭表示金利は「基準の値」——店舗のない銀行の表示にも生きている

店頭表示金利とは、各銀行が市場金利などをもとに独自に定め、預金や貸出の基準として掲示している通常の金利です。もともとは支店の窓口に掲示していたことからこの名前がありますが、いまはウェブの金利一覧に載っている値がそれに当たります。日本銀行が公表する預金金利の統計も「預金種類別店頭表示金利の平均年利率等」という名称で、店頭表示金利は銀行界で共通に使われる基準の呼び名です。

基準である以上、店頭表示金利は動きます。三井住友信託銀行は金利一覧の注記で「店頭表示金利は金利環境等の変化を踏まえ、毎週見直します」「原則毎週金曜日の14:00頃に更新」と明記しています(三井住友信託銀行 円預金金利・2026年9月7日現在の表示を9月11日に確認)。金利一覧に必ず「◯年◯月◯日現在」と日付が付いているのは、その日付時点の基準であることを示す意味があり、預け入れる日には別の値になっていることがあります。

銀行(円定期預金)1年ものの店頭表示金利時点・備考
三井住友信託銀行 スーパー定期(300万円未満)年0.525%2026年9月7日現在。毎週金曜に見直し
三菱UFJ銀行 スーパー定期(300万円未満)年0.500%2026年9月11日現在(公式表示は年0.5000%)
ドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行)円定期預金(100万円未満)年0.500%2026年9月11日現在

大切なのは、固定金利型の定期預金では、預け入れた日の店頭表示金利がその明細の満期まで固定されることです。預けたあとに店頭表示金利が上がっても下がっても、その明細の金利は変わりません。逆に自動継続で次の期間に入るときは、継続日時点の店頭表示金利が新しく適用されます。SBI新生銀行の金利一覧も、満期後に円普通預金へ入金された資金には「円普通預金店頭表示金利」が適用されると案内しています(SBI新生銀行 円預金の金利一覧・2026年9月11日確認)。「店頭表示金利」は店頭に行く人だけの金利ではなく、ネット経由の預け入れでも、満期後の資金でも、基準として顔を出します。

特別金利は基準を期間限定で”置き換える”——6ヵ月が1年より高くなる理由

特別金利(キャンペーン金利)は、店頭表示金利に何かを足すのではなく、対象期間・対象者・対象商品に限って店頭表示金利の代わりに適用される別の金利です。置き換えなので、表示された数字がそのまま適用金利になり、店頭表示金利の水準とは関係なく決まります。

実例として分かりやすいのがドコモの銀行です。円定期預金の商品ページには「主な金利」として6ヵ月 年1.250%・1年 年0.500%が並んでいます(2026年9月11日現在)。期間が短いほうが高いという逆転は、6ヵ月ものが「ドコモの銀行誕生祭 円定期預金 6ヵ月もの特別金利キャンペーン」(2026年8月3日〜11月1日預入分)の特別金利で置き換えられているためで、1年ものは店頭表示金利のままです。キャンペーンページには「キャンペーンの金利は初回お預入れの満期日まで適用」「自動継続の際は満期日(ご継続日)時点の金利が適用」「満期日前に中途解約された場合、キャンペーンの金利は適用されません」「預入額が一定額に達した場合にはキャンペーンを終了する場合があります」と明記されています(ドコモの銀行 6ヵ月もの特別金利キャンペーン・2026年9月11日確認)。

もう一つの型が「対象者を限る」置き換えです。SBI新生銀行のスタートアップ円定期預金は、口座開設月を含む当初3ヵ月目の月末まで利用できる新規口座開設者向けの商品で、3ヵ月もの・1年ものとも年1.700%(2026年9月11日現在)です。同じ日の誰でも預けられるパワーダイレクト円定期預金は1年もの年1.200%なので、対象者かどうかで同じ1年ものの適用金利が変わります。こうした新規限定の特別金利の見方は、定期預金キャンペーンの見極め方(年0.5%表示と受取利息のカラクリ)で期間換算の計算とあわせて説明しています。

特別金利で覚えておきたい性質は3つです。①適用は初回の満期までで、自動継続後は継続日の店頭表示金利(またはその時点のキャンペーン金利)に戻る。②中途解約すると特別金利は消え、所定の中途解約利率で計算し直される③銀行側の都合で早期終了・条件変更があり得る——全国銀行公正取引協議会も、預入額が一定額に達したら終了する可能性がある場合は広告にその旨を明瞭に表示すべきだとしています(表示規約に関する照会事例 事例30)。満期後の扱いは定期預金の自動継続に注意(キャンペーン金利は初回満期まで)で詳しく整理しています。

優遇金利は基準に”上乗せ”する幅——幅が同じでも合計は動き、ゼロにもなる

優遇金利(上乗せ金利)は、「店頭表示金利+年0.050%」のように基準の上に加算する幅として設計されています。取引状況に応じたステージ制、給与振込や年金受取の指定、インターネット経由の預け入れなどが条件になるのが典型です。置き換えである特別金利と違い、優遇金利は基準に依存するため、幅が固定でも合計の適用金利は店頭表示金利と一緒に動きます。

三井住友信託銀行のトラストプレミアムサービスがこの型です。スーパー定期2年ものは店頭表示金利年0.650%に対し、ゴールド・プラチナステージは年0.700%(+0.050%)、5年ものは年1.000%に対し年1.050%です。一方で1年以下の期間は「店頭表示金利と同じ金利です」と表示されており、上乗せが付く期間と付かない期間が同じ商品の中に混在しています(2026年9月7日現在の表示を9月11日に確認)。

もう一つ知っておきたいのは、上乗せ幅そのものが保証された数字ではないことです。SBI新生銀行のパワーダイレクト円定期預金100はステップアッププログラムの優遇対象商品で、金利一覧にはステージ別の列が並びますが、2026年9月11日時点では1ヵ月から5年までどの期間もステージによる差がなく(1年もの年1.200%・5年もの年1.950%で全ステージ共通)、一覧の注記に「市場動向やキャンペーン等により、金利の優遇幅が変動、または金利の優遇幅が生じない場合があります」とあります。同じ日の円普通預金ではダイヤモンドステージだけ年0.450%(他ステージは年0.400%)と差が付いているので、優遇が効く商品と効かない商品が時期によって入れ替わると理解するのが正確です。

ここから導ける読み方は単純で、「+0.050%」という幅ではなく、上乗せ後の合計金利を他行の店頭表示金利や特別金利と横に並べることです。基準が低ければ、上乗せしても別の銀行の素の金利に届かないことは珍しくありません。ネット銀行を中心にした横並びは定期預金キャンペーン比較(ネット銀行の高金利と適用条件)が担当していますので、本記事で表示の種類を見分けたうえで、そちらの一覧で合計金利を比べてください。

3つの表示を同じ物差しに直す——「いくらが・いつまで・その後は」

見分け方を一つの表にまとめると次のようになります。銀行のページで探す場所も添えました。

表示の種類数字の意味適用される期間期間が終わったあとページで探す場所
店頭表示金利その時点の基準。預入日の値が満期まで固定預入日から満期まで継続日時点の店頭表示金利で継続、または普通預金へ金利一覧の「◯年◯月◯日現在」の表
特別金利基準の”置き換え”。表示値がそのまま適用金利初回満期まで(期間・対象者限定)継続日時点の店頭表示金利(またはその時点のキャンペーン金利)キャンペーンページの「対象期間」「対象となるお客さま」「ご注意事項」
優遇金利基準への”上乗せ”幅。合計=店頭表示金利+幅条件を満たしている預入分(幅が0になる時期もある)継続時は継続日の基準+その時点の幅金利一覧のステージ別の列、優遇プログラムの説明ページ

広告の側にもルールがあります。銀行広告の自主規制を担う全国銀行公正取引協議会は、当初満期までしか適用されない高い金利を表示する場合、その金利が適用された後の継続後の金利を具体的に表示して水準が分かるようにするのが広告表示例の考え方で、優遇幅を表示している場合は継続後の金利が明白なので店頭表示金利の表示は必須ではないとしています(同 事例26)。また、期間1年未満の定期預金では表示金利と適用期間の関係で収益性を誤認しやすいため、受取利息の計算式を記載する扱いになっています(同 事例25)。読者の側から見れば、「継続後の金利」「計算式」「◯年◯月◯日現在」の3か所を探せば、表示の種類はほぼ判別できるということです。

判断材料:金利の数字を見たら、預ける前に4つだけ確かめる

安全性と税引後の手取りで預け先を選ぶなら、金利表示を見た時点で次の4点を自分に問うのが実務的です。

  1. その数字は「基準」「置き換え」「上乗せ」のどれか。ドコモの銀行の6ヵ月 年1.250%は置き換え(特別金利)、三井住友信託銀行の2年 年0.700%は上乗せ後の合計、三菱UFJ銀行の1年 年0.500%は基準そのものです。置き換えと上乗せは「その後」が違うので、ここを最初に切り分けます。
  2. 適用されるのはいつの金利か。店頭表示金利は預入日の値が固定されます。申込画面を開いた日と預入日がずれると、表示を見た日と違う値になることがあります。エントリー制のキャンペーンでは、エントリー日と預入日の両方が条件になっている場合があります。
  3. 期間が終わったらどの金利になるか。継続日時点の店頭表示金利に戻るのが原則です。ドコモの銀行のように「キャンペーン期間中に自動継続となる預金にもキャンペーン金利が適用される」と明記している例もありますが、期間を過ぎた継続には及びません。自動継続にするか満期解約にするかは、預け入れ時に決めておきます。
  4. 税引後・期間換算で他の預け先と比べる。3つの表示のどれであっても、受取利息は「元本×年利×預入月数÷12」から20.315%の税を引いた額です。ドコモの銀行のキャンペーンページは100万円・6ヵ月で税引前6,301円・税引後5,022円(預入日と満期日で日割り)という具体例を載せており、年1.250%という表示から受ける印象より小さい額になります。

なお、どの表示であっても円定期預金は預金保険の対象で、1金融機関あたり元本1,000万円までとその利息が保護されます。特別金利や優遇金利が付いた分も、通常の円定期預金であれば同じ扱いです(仕組預金の上乗せ分は別扱いになります)。まとまった資金を特別金利に集中させるときは、金利の種類とあわせて預入先ごとの残高も確認しておくと安心です。

金利表示でつまずきやすい疑問

Q. インターネット専業の銀行に店頭はないのに、「店頭表示金利」と書かれるのはなぜですか?

A. 店頭表示金利は「窓口で預ける人の金利」ではなく、その銀行が定めている基準の金利の呼び名です。日本銀行の統計名にも使われる共通の用語で、ウェブに掲載された金利一覧の値がそれに当たります。SBI新生銀行の金利一覧でも、満期後に普通預金へ入金された資金に「円普通預金店頭表示金利」が適用されると書かれており、ネット経由の預け入れでも基準として使われています。

Q. 「店頭表示金利+年0.050%」の優遇で預けたあと、店頭表示金利が下がったら私の金利も下がりますか?

A. 固定金利型の定期預金であれば、預入日に確定した金利(店頭表示金利+上乗せ幅)がその明細の満期まで適用され、途中で下がることはありません。影響が出るのは自動継続のときで、継続日時点の店頭表示金利を基準に、その時点の優遇条件に応じた金利で継続されます(継続時の優遇の扱いは銀行ごとに異なるため、商品概要説明書で確認してください)。変動金利型の定期預金は別の仕組みなので、金利の見直し時期もあわせて確認が必要です。

Q. 特別金利の定期預金を自動継続にしておけば、次の期間も特別金利になりますか?

A. 原則としてなりません。特別金利は初回の満期日まで適用され、継続後は継続日時点の金利になります。ドコモの銀行はキャンペーン期間内に継続日が来る預金にはキャンペーン金利を適用すると案内していますが、期間を過ぎてからの継続は対象外です。特別金利を確実に受け取る前提で預けるなら、満期解約にしておき、満期時点で改めて預け先を選ぶほうが読み違えがありません。

Q. 金利一覧に書かれている店頭表示金利は、いつ見ても同じ値ですか?

A. 同じとは限りません。三井住友信託銀行は毎週金曜日に店頭表示金利を見直すと明記しており、他行も金融情勢に応じて随時改定します。金利一覧の「◯年◯月◯日現在」はその日付時点の値であることを示す基準期日です。預入日に適用されるのはその日の値なので、申込前に金利一覧を開き直して日付と数字を確かめる習慣をつけると安全です。

まとめ——数字の前に「種類」を読む

店頭表示金利は基準、特別金利は基準の置き換え、優遇金利は基準への上乗せです。同じ年1%でも、置き換えなら初回満期で終わり、上乗せなら基準と一緒に動き、幅がゼロになる時期もあります。銀行のページでは「◯年◯月◯日現在」「継続後の金利」「計算式」の3か所を探して種類を見分け、上乗せ後の合計金利を税引後・期間換算で他行と横に並べる——この順番で読めば、6ヵ月が1年より高いといった表示にも惑わされずに済みます。本記事の金利はいずれも2026年9月11日に各行の公式サイトで確認した時点の値で、店頭表示金利は毎週動き、キャンペーンは早期終了することがあります。最新の金利と適用条件は各行の公式サイト・商品概要説明書でご確認ください。

参考・出典:全国銀行公正取引協議会「表示規約に関する照会事例」(事例25・26・30)全国銀行協会「知っておきたい、金利表示の見方と注意点」日本銀行「預金種類別店頭表示金利の平均年利率等」三井住友信託銀行 円預金金利三菱UFJ銀行 円預金金利ドコモの銀行 円定期預金SBI新生銀行 円預金の金利一覧(いずれも2026年9月11日確認)


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