投資信託・外貨とのセット定期|年7%の実質利回りを計算する

セット定期の年7%は、投資信託や外貨預金と同時に申し込んだ円定期の部分だけに、最初の3か月だけ付く金利です。2026年10月時点の実例で計算すると、資金全体の手取りは3か月で0.69%ほどにとどまります。
表示の金利を資金全体の実質利回りに直す手順は4つで、電卓があれば計算できます。退職金を受け取った人向けのセットプランは、退職金向けの専用プランの記事で紹介しています。
セット定期の優遇金利が付くのは円定期の部分と最初の3か月だけ
セット定期の広告に出てくる金利には、前提が2つあります。1つは、対象が円定期預金の部分だけであることです。投資信託や外貨預金として申し込んだ部分に、その金利は付きません。
もう1つは、優遇が初回の預入期間(多くは3か月)に限られることです。満期後に自動継続されても、その時点の通常の金利に戻ります。
円定期に預けられる金額にも上限があります。投資信託の購入額まで、外貨定期との比率どおり、総額の50%以下といった決まりが各行にあります。
資金の半分に3か月だけ年7%が付き、残りの半分は手数料や為替コストのかかる商品に入ります。年7%の数字だけで決めると、資金全体の利回りを大きく読み違えます。
金利の年率表示と受取利息の関係は、キャンペーン金利の表示と受取利息の関係の記事で解説しています。セット定期では、そこに相手側の商品のコストが加わります。
実質利回りを出す4つの手順
セット定期の価値は、次の4つの計算で資金全体に対する数字に直せます。使う数字は、各行の要項に書かれている金利と手数料だけです。
- 円定期の利息(税引前)を出します。円定期の預入額 × 年率 × 預入日数 ÷ 365 で計算し、3か月ものなら日数はおよそ90日です。
- 税引後にします。利息には20.315%の税金がかかるため、税引前利息 × 0.79685 が手取りです(内訳は預金利息にかかる税金の内訳の記事で解説しています)。
- 上乗せ分だけを取り出します。同じ銀行の通常の3か月定期にも利息は付くので、セットで増えた手取りは、優遇金利の税引後利息から通常金利の税引後利息を引いた金額です。
- 相手側のコストを引きます。投資信託なら購入時手数料(購入額 × 手数料率)、外貨預金なら為替コストの往復分を引き、残りを資金全体で割った値が実質利回りです。
手順4で引くのは、預けた時点で決まっているコストだけです。投資信託の値動きや為替の損益は、その時点では分からないので計算に入れません。
確定しているコストを引いてマイナスになるセットは、相場が有利に動かないかぎり元が取れません。
投資信託セットの計算例(みずほマネープランセット)
みずほ銀行の「みずほマネープランセット」は、投資信託と同じ日に申し込んだ円定期預金(3か月もの)に、初回だけ高い金利を付けるプランです。
2026年10月時点の公式サイトでは、新規プランは投資信託の購入240万円以上で年3%、500万円以上で年7%(税引後5.577%)です。対象は、みずほ銀行で投資信託を初めて買う人か、過去1年以内に保有していない人です。
すでに投資信託を持っている人向けの基本プランは、500万円以上で年2%です。1,000万円以上の購入で+2%、みずほ銀行のNISA口座の利用で+1%が加わり、上限は新規プランで年10%です。
円定期に預けられる金額は、公式サイトのQ&Aの例では、投資信託を500万円買った場合で最大500万円です。優遇は当初3か月だけで、満期後はその時点のみずほ銀行の金利で継続されます。
通常のスーパー定期(3か月もの・300万円未満)は、2026年10月時点で年0.500%です。この2つの金利で、投資信託500万円と円定期500万円、合計1,000万円を新規プランで申し込んだ場合を計算します。
- 円定期の利息(90日)は500万円 × 7% × 90 ÷ 365 = 86,301円(税引前)で、税引後は約68,769円
- 通常金利(年0.500%)なら6,164円(税引前)で、税引後は約4,912円
- セットで増えた手取りは約63,857円
- 投資信託500万円の購入時手数料は、手数料率1.10%なら55,000円、2.20%なら110,000円、みずほ銀行が示す上限3.30%(税込)なら165,000円
上乗せ分の63,857円を投資信託の購入額500万円で割ると、約1.28%です。購入時手数料率が1.28%を超える投資信託と組み合わせると、3か月分の上乗せ利息は手数料で消えます。
手数料率1.10%なら差し引き約8,900円のプラス、2.20%なら約46,000円のマイナスから運用が始まります。資金全体の1,000万円で見ると、優遇利息の手取りは3か月で0.69%、上乗せ分だけなら0.64%です。
みずほ銀行も注意事項で、投資元本の損失や手数料などのコストが、初回適用金利の利息額を上回る場合があると明記しています。
損得を左右するのは円定期の金利より、組み合わせる投資信託の購入時手数料と信託報酬(保有中に毎年かかる費用)です。
外貨セットの計算例(ソニー銀行のセット定期プログラム)
外貨預金と組み合わせるセットでは、投資信託の手数料に代わって為替コストが相手側のコストになります。
ソニー銀行の「セット定期プログラム」は、円普通預金から円定期と外貨定期を同時に申し込むと、円定期の金利が上がるプログラムです。円定期と外貨定期の比率は、セット25・セット50・セット75の3つから選びます。
2026年10月時点の公式サイトの例では、申込額100万円・米ドル・3か月の円定期の金利は、セット25で年0.56%、セット50で年0.70%、セット75で年1.10%です。通常の円定期3か月ものは年0.500%です。
セット50・3か月の円定期の金利は通貨によって異なり、豪ドルとNZドルは年1.50%、南アフリカランドは年5.00%です。円定期と外貨定期のどちらかを解約すると、上乗せ金利の特典は預入日にさかのぼって消えます。
為替コストは片道で、米ドルが1米ドルあたり0.15円(基準レート156.85円)、南アフリカランドが1ランドあたり0.20円(同9.45円)です(2026年10月時点の表示例)。この数字で4つの手順を計算します。
- セット50・米ドル・100万円の場合、円定期50万円の上乗せ分は税引後で約196円です(年0.70%と年0.500%の3か月分の差)。米ドル定期50万円分(約3,185米ドル)の為替コストは往復で約955円で、上乗せ利息の約4.9倍です。
- セット50・南アフリカランド・100万円の場合、円定期50万円の上乗せ分は税引後で約4,421円です。ランド定期50万円分(約5.2万ランド)の為替コストは往復で約20,725円で、上乗せ利息の約4.7倍です。
どちらの通貨でも、円定期で増える利息より、外貨側で決まる為替コストのほうが大きくなります。外貨定期にはその通貨の金利(セット50の米ドル3か月で年3.500%)が付き、円安になれば為替差益も出ます。
ただ、それは外貨預金そのものの損益で、セットにしたことで増えた利益とは別のものです。外貨預金の手数料は外貨預金の為替手数料の比較、高金利通貨の損益分岐は外貨定期を円で比べる計算の記事で解説しています。
円定期の優遇が高い通貨ほど、為替コストの率も高い
南アフリカランドのセットだけ、円定期が年5.00%と高くなっています。ランドの為替コストは基準レート9.45円に対して片道0.20円で約2.1%、米ドルは156.85円に対して0.15円で約0.1%です。
円定期の高い優遇は、外貨側で払う為替コストの一部を円定期の利息で戻しているようなものです。円定期の金利が高いセットは、外貨側のコストが大きいセットでもあります。
外貨側の金利は、為替レートが動けば打ち消されることがあります。先に決まっているのは為替コストと円定期の上乗せ分なので、この2つを比べれば損得の大きさがつかめます。
申込条件の例(りそな銀行の新規コース)
セット定期の条件は、各行とも似た内容です。りそな銀行の「りそなの資金運用プラン(新規コース)」は、投資信託・ファンドラップ(50%以上)と円定期預金(50%以下)を同時に申し込むプランです。
2026年10月時点の公式サイトでは、総額500万円以上1,000万円未満で円定期3か月ものが年3.0%(税引後2.390%)、1,000万円以上で年5.0%(税引後3.984%)です。
対象は、りそなで投資信託・ファンドラップを過去1年以内に保有していない人で、1人1回限り、店頭だけの受付です。特別金利は当初3か月だけで、その後は満期時点の3か月もの店頭金利になります。
りそな銀行は、投資信託の購入後1か月以内に解約すると、定期預金の金利を店頭金利に直す場合があるとしています。投資信託をすぐ売って優遇金利だけを受け取ろうとすると、優遇を失うことがあります。
3行の条件を比べると、セット定期の要項には共通して次の4点が書かれています。
- 円定期は投資商品と同額、または決まった比率まで
- 申込総額や購入額に下限がある
- 優遇は初回の3か月だけ
- 対象者や回数に制限がある(新規・1回限り・店頭限定など)
どのセット定期も、要項からこの4点を拾えば、実質利回りの計算に必要な数字がそろいます。
| 項目 | みずほマネープランセット(投資信託) | ソニー銀行 セット定期(外貨) | りそな 新規コース(投資信託) |
|---|---|---|---|
| 円定期の優遇金利(3か月) | 新規プランで投資信託500万円以上なら年7%(上限年10%) | セット50で米ドル年0.70%、南アランド年5.00% | 総額500万円以上で年3.0%、1,000万円以上で年5.0% |
| 円定期に預けられる上限 | Q&Aの例では投資信託500万円の購入で最大500万円 | セット25・50・75の比率どおり | 総額の50%以下 |
| 相手側の確定コスト | 購入時手数料(最大3.30%・税込)と信託報酬 | 為替コスト往復(米ドル0.30円、南アランド0.40円/1通貨) | 購入時手数料と信託報酬 |
| 優遇が消える条件 | 初回満期前の解約(期日前解約利率を適用) | 円定期・外貨定期のどちらかを解約すると預入日にさかのぼって消える | 投資信託を1か月以内に解約すると店頭金利に直す場合がある |
※2026年10月時点で各行の公式サイトに掲載されていた内容です。
預金保険で守られるのは円定期の部分だけ
預金保険機構の保護の範囲の説明では、定期預金を含む一般預金等は、1金融機関ごとに預金者1人あたり元本1,000万円までと破綻日までの利息が保護されます。
外貨預金は預金保険の対象外で、投資信託はそもそも預金ではありません。セット定期で保護されるのは円定期の部分だけで、資金の半分前後は預金保険の外にあります。
中途解約とNISA口座の利用で変わること
優遇金利の円定期だけを先に解約することはできますが、優遇は失われます。みずほ銀行では初回満期前に解約すると期日前解約利率になり、約定利率や預入期間によっては0%の場合もあります。
ソニー銀行では、円定期と外貨定期のどちらかを解約した時点で、上乗せ金利の特典が預入日にさかのぼって消えます。3か月は動かせない資金として金額を決める必要があります。
NISA口座で買う投資信託でも、購入時手数料の有無はファンドごとに違います。手数料無料の投資信託なら手順4で引くのは信託報酬だけですが、値動きによる元本割れの可能性は残ります。
セット定期を使うか決める3つの確認
- 相手側の商品を、セットがなくても買うつもりだったかを確認します。投資信託や外貨預金をもともと持ちたい人には、円定期の優遇はそのまま上乗せになります。優遇金利のためだけに買う場合は、確定コストが上乗せ利息を上回ることが多くなります。
- 確定コストを引いた残りがプラスかを確認します。投資信託セットなら上乗せ利息(税引後)÷ 投資信託の購入額が購入時手数料率を上回るか、外貨セットなら上乗せ利息が為替コストの往復分を上回るかで判定できます。
- セットなしの定期預金と、税引後の手取りで比べます。SBI新生銀行の新規口座開設者向け「スタートアップ円定期預金」は、2026年10月時点で3か月もの・1年ものとも年1.70%(税引後1.3546%)で、投資商品との組み合わせを条件にしていません。対象は口座開設月を含む3か月目の末日までの個人で、インターネットでは1口30万円以上です。
この定期に1,000万円を3か月預けた場合の税引後利息は、月数で計算した概算で約3.4万円です。
みずほ銀行の例に手数料率2.20%の投資信託を組み合わせると、優遇利息の手取り約6.9万円から手数料11万円を引いて約4.1万円のマイナスです。
年7%は手数料や為替コストを引く前の金利
セット定期の年3%や年7%は、円定期の部分に初回の3か月だけ付く金利で、投資信託の手数料や為替コストを引く前の数字です。
上乗せ利息(税引後)から相手側の確定コストを引き、資金全体で割ると、どのセット定期も同じ基準で比べられます。
2026年10月時点の例では、投資信託セットは手数料率が約1.3%を超えると上乗せ利息が消え、外貨セットは為替コストの往復が上乗せ利息の約5倍でした。
金利・キャンペーン条件と為替コストは記載時点のものです。預け入れ前に各行の最新の金利表と要項でご確認ください。
















