定期預金キャンペーンの見極め方|年0.5%表示と受取利息のカラクリ

「年0.5%の特別金利」——定期預金キャンペーンの案内で、こうした表示を見かける機会が増えました。100万円を預ければ5,000円の利息がもらえる、と読んでしまいそうになりますが、その定期預金が3か月ものなら、実際に受け取れる利息は税金を引く前でも約1,250円です。
間違いやすいのは、預金の金利表示が預入期間に関係なく「1年あたりの率(年率)」で統一されているためです。この決まりを知らないまま表示金利の大小だけで比べると、期間の違うキャンペーン同士を正しく評価できません。本記事では、年利表示から実際の受取利息を計算する方法と、キャンペーン定期預金を預け入れ前に見極める手順を、2026年8月時点の実例を交えて整理します。
目次
「年0.5%」の3か月定期に100万円を預けても、利息は約1,250円
銀行の預金金利は、キャンペーンの特別金利も含めてすべて年率(1年あたりの率)・税引前で表示されています。これは期間が2週間でも3か月でも同じです。実際の利息は、おおむね次の式で計算されます。
利息(税引前)= 元本 × 年利率 × 預入日数 ÷ 365
たとえばオリックス銀行は、定期預金の利息について「付利単位を1円とし、1年間を365日とする単利の日割り計算」と商品ページに明記しています(他行もおおむね同様の方式です)。つまり「年0.500%・3か月もの」に100万円を預けた場合、適用されるのは1年分の0.500%ではなく、そのおよそ12分の3(約4分の1)です。
100万円 × 0.500% × 3/12 = 約1,250円(税引前)
年0.500%の表示から連想しがちな「5,000円」を受け取るには、その金利のまま1年間預ける必要があります。預入期間ごとの違いをグラフにすると次のとおりです。

キャンペーン定期は3か月・6か月などの短期に高い表示金利を付ける形が多いため、この期間換算を飛ばして表示金利だけで比べると、受け取れる金額を実際より大きく見積もることになります。逆に言えば、短期キャンペーンが悪いわけではなく、「表示金利」と「受取額」は別の物差しだと分かって使えばよいだけです。
手取りの目安は「表示金利 × 期間 ÷ 12 × 約0.8」でつかむ
もう1つ忘れやすいのが税金です。預金利息には20.315%(国税15.315%〈復興特別所得税を含む〉・地方税5%)が源泉分離課税として差し引かれます。受け取り時にはすでに税金が引かれているため、手取りは税引前利息の約79.7%(×0.79685)です。
100万円を預けた場合の受取利息の目安を、表示金利と期間の組み合わせで並べると次のようになります(月割りの概算です。実際は日割り計算と端数処理により数円程度前後します)。
| 表示金利(年率・税引前) | 3か月もの | 1年もの |
|---|---|---|
| 年0.500% | 税引前 1,250円/税引後 約997円 | 税引前 5,000円/税引後 約3,985円 |
| 年1.000% | 税引前 2,500円/税引後 約1,993円 | 税引前 10,000円/税引後 約7,969円 |
| 年1.500% | 税引前 3,750円/税引後 約2,989円 | 税引前 15,000円/税引後 約11,953円 |
同じ表示金利でも、期間が4分の1なら受取額も約4分の1になることが分かります。期間の異なるキャンペーンを比べるときは、「表示金利 × 預入期間(月数)÷ 12 × 元本 × 約0.8」で受取額の円額に直して並べるのが、いちばん間違いのない方法です。
2026年8月時点のキャンペーンに当てはめてみる
考え方を、実際に募集中の商品に当てはめてみます(いずれも例であり、金利・条件は予告なく変更されます。最新の金利は各行公式サイトでご確認ください)。
例1:SBI新生銀行「スタートアップ円定期預金」
SBI新生銀行が新規口座開設者限定で提供している円定期預金で、2026年8月24日に公式サイトの金利一覧で確認した適用金利は3か月もの 年1.400%・1年もの 年1.550%(いずれも税引前・2026年7月10日引き上げ)でした。申込はインターネットなら1口30万円から、口座開設月を含む3か月目の月末までです。
100万円を預けた場合の受取利息はそれぞれ、3か月もの=税引前約3,500円(税引後約2,789円)、1年もの=税引前15,500円(税引後約12,352円)。表示金利の差は0.15ポイントですが、受取額は期間の違いによって4倍以上の開きになります。また、満期後は円普通預金(同日時点の店頭表示金利は年0.400%)に入金される仕組みで、高い金利が続くのは当初の預入期間だけです。
例2:オリックス銀行「eダイレクト定期預金」の優遇金利プログラム
オリックス銀行は新規口座開設者限定の優遇金利プログラムを実施しています(2026年8月24日に公式サイトで確認)。ここで注目したいのは条件面です。優遇金利が適用されるのはお客さま専用ページの「優遇金利定期の申し込み」から申し込んだ場合に限られ、申込期限は口座開設日から翌々月の末日まで。さらに優遇金利は初回の満期日までで終了し、自動継続後は満期日当日の通常金利が適用されます。中途解約した場合も優遇金利は適用されません。
なお、同行の通常金利(eダイレクト定期預金・2026年8月17日現在)は6か月 年0.70%・1年 年1.25%・5年 年1.40%などとなっており、期間によって金利そのものも異なります。「どの期間の金利なのか」「どの経路で申し込むと適用されるのか」まで確認して、はじめて比較の土台に載せられます。
預け入れ前に確認したい5つのチェックポイント
ここまでの内容を、預け入れ前のチェックリストとしてまとめます。
- 受取額の円額に直す——表示金利ではなく「元本 × 年利率 × 期間(月数)÷ 12」で税引前利息を計算する。
- 税引後で見る——税引前利息に約0.79685を掛ける(20.315%の源泉分離課税)。銀行が併記する「税引後金利」は端数切り捨て表示のため、こちらで比べてもよい。
- 適用条件を読む——新規口座開設限定か、エントリーや専用ページ経由などの申込経路の指定はないか、預入の上限額・最低額・申込期限はどうか。
- 満期後の金利を確認する——キャンペーン金利は初回満期まで。自動継続後は通常の店頭金利、自動解約なら普通預金金利に戻るのが一般的。満期後の扱い(元利継続・元金継続・自動解約)の設定も預入時に確認する。
- 中途解約時の扱いを知っておく——中途解約すると優遇金利は適用されず、大きく低い中途解約利率が使われる。詳しくは定期預金の中途解約利率の仕組みで解説しています。
また、「3か月ものの高金利キャンペーンを満期ごとに乗り換え続ければ、1年ものより有利」と考えるのも早計です。短期の高金利は新規口座開設者限定など一度しか使えない条件が付いていることが多く、満期後に同じ金利で継続できる保証はありません。乗り換えの間に資金が普通預金に置かれる期間が生じることも考えると、確実性では期間を通して金利が確定している1年ものに分があります。どちらが得かは、上の式で受取額を出してから判断するのが堅実です。
金利表示の読み方Q&A
Q. 「最大年◯%」と幅のある表示は、何を確認すればよいですか?
A. 「最大」が付く場合、その金利が適用されるのは特定の条件を満たしたときだけです。対象の預入期間(最長期間のみのことがあります)、預入額の下限・上限、店頭限定の上乗せやエントリーの要否などを、キャンペーン要項の注記まで確認してください。自分が満たせる条件での適用金利が、比較に使う数字です。
Q. 銀行が併記している「税引後金利」と自分の計算が合わないのはなぜですか?
A. 税引後金利の表示は、表示桁未満を切り捨てる決まりの銀行が多いためです。また実際の税額は国税と地方税を分けて計算し端数処理されるため、概算とは数円単位のずれが生じます。比較の目的では「税引前どうし」か「税引後どうし」に物差しをそろえて見れば十分です。
Q. 期間の違うキャンペーンがいくつもあって選べません。何から手を付ければよいですか?
A. まず預ける資金を「いつまで動かさなくてよいか」で区切り、その期間内に満期が来る商品だけに候補を絞ります。そのうえで各候補の受取額(税引後)を計算して並べれば、表示金利に惑わされずに選べます。現在募集中の主な商品は定期預金キャンペーン金利の比較一覧とネット銀行のキャンペーン比較にまとめています。
まとめ——物差しは「税引後の受取額」に統一する
定期預金の金利表示は、期間に関係なくすべて年率です。だからこそ、期間の異なるキャンペーンを比べるときは、表示金利ではなく「税引後にいくら受け取れるか」の円額に直して並べることが唯一の公平な物差しになります。あわせて、適用条件・満期後の金利・中途解約時の扱いという3つの「金利以外の条件」を要項で確認すれば、キャンペーン定期預金は預金保険の範囲で堅実に使える選択肢です。金利・条件は随時見直されるため、お預け入れ前には必ず各行公式サイトの最新情報をご確認ください。















