他行からの振込入金でキャンペーン金利を取るコストと損益分岐

二つの銀行の間を硬貨が移動する様子と時計・カレンダーのイメージ

他行からの振込入金が条件の定期預金キャンペーンでは、資金を移すたびに振込手数料がかかります。ネット振込で往復200円弱なら、3か月もの・上乗せ年1.0%の場合、元本が約9万円を超えたところで利息が手数料を上回ります。

手取りを減らしやすいのは、手数料の額よりも着金の遅れと振込限度額です。締め切り直前の夜間や週末の振込、登録していない振込先への大きな金額は、キャンペーンの期限に間に合わないことがあります。

振込手数料を負担するのは送金元の銀行で、預け先の無料回数は行きには使えない

振込手数料は、お金を送り出す側の銀行が送金元の口座から差し引きます。キャンペーンを行う銀行の無料回数は、その銀行から送金するときの特典です。

今の資金がメガバンクや地方銀行にあるなら、行きの手数料はその銀行の料金表で決まります。預け先の無料回数が使えるのは、満期後に元の銀行へ資金を戻す帰りの振込です。

料金はチャネルで大きく変わります。2026年10月時点の2つの銀行の公式サイト掲載の料金で、他行あての振込1件の手数料を並べました(いずれも個人・税込)。

銀行と方法他行あて振込1件の手数料無料になる条件
みずほ銀行 窓口990円(税込)なし
みずほ銀行 ATM(キャッシュカード)3万円未満270円・3万円以上330円(税込)なし
みずほ銀行 みずほダイレクト110円(税込)みずほマイレージクラブ会員は取引状況に応じて月3回まで無料
ドコモSMTBネット銀行 インターネット77円(税込)スマプロランクに応じて月1〜20回無料

※各行公式サイトの手数料ページ(2026年10月19日確認)による。ATMの現金での振込は、みずほ銀行では1件10万円までの取り扱いです。

同じ銀行でも、窓口とネットでは約9倍の差があります。資金を動かす前に、送金元の銀行でネット振込が使える状態かを確認しておくと、往復の費用を数百円の範囲に収められます。

移すかどうかは、上乗せ利息と往復の手数料の比較で決まる

判断に使う数字は2つです。キャンペーンで増える税引後の利息と、行きと帰りの振込手数料の合計を比べます。

増える利息は、元本×上乗せ幅×期間(年)×0.79685で概算できます。上乗せ幅は、キャンペーン金利と今の資金が置かれている預金の金利の差です。0.79685は、20.315%の源泉分離課税を引いた残りの割合です。

預金の利子は所得税15.315%と地方税5%が源泉徴収されて課税が終わり、確定申告はできません(国税庁 タックスアンサーNo.1310)。比べる利息は、必ず税引後の額にそろえます。

上乗せ幅を年1.0%と仮定し、手数料がちょうど利息で回収できる元本を計算しました。ネット往復は行き110円・帰り77円、窓口往復は行き990円・帰り77円の場合です。

預入期間(上乗せ年1.0%の仮定)ネットで往復(187円)窓口で送って戻しはネット(1,067円)
1か月約28万円約161万円
3か月約9万4,000円約54万円
1年約2万3,000円約13万4,000円

※損益分岐の元本=往復の手数料÷(0.01×期間〔年〕×0.79685)。1か月は12分の1年として計算した概算。

預入期間別に、振込手数料を利息で回収できる元本をネットと窓口で比べた横棒グラフ
期間が短く、窓口で送るほど、手数料の回収に必要な元本が大きくなります。

この元本を下回ると、上乗せ分の利息より手数料のほうが大きくなります。上乗せ幅が年0.5%なら、損益分岐の元本は表の2倍です。

手数料が利息を上回りやすいのは、少額・短期・窓口の組み合わせ

たとえば10万円を1か月もの・上乗せ年1.0%で預けると、増える利息は税引後で約66円です。ネット往復の187円にも届かず、窓口で送れば1,000円近い持ち出しになります。

同じ上乗せ幅でも、300万円を3か月預ければ増える利息は約5,976円です。往復の手数料が1,000円を超えても利息が上回るため、この金額帯では送金方法の差は小さくなります。

短期のキャンペーンを毎回乗り換える場合は、回数分の手数料が積み上がります。年0.5%の表示が3か月ものなら実際の利息は1年ものの4分の1で、計算の考え方は定期預金キャンペーンの見極め方で整理しています。

大きな金額は、振込限度額と振込先の登録日数で止まる

数百万円を移すときは、手数料より先に送金元の振込限度額で止まることがあります。限度額を超える振込はその日のうちに受け付けられず、分けて送ると件数分の手数料がかかります。

みずほダイレクトでは、登録していない振込先への1日の限度額は0〜500万円の範囲で、指定がなければ50万円です(2026年10月時点)。

登録した振込先なら1日2,000万円まで送れます。ただ、ネットで振込先を登録した場合、登録先として使えるのは約3営業日後からです。

平日の早朝・夜間と土日祝日には、別の限度額を設定できる仕組みもあります。新しく開いたキャンペーン用の口座へ送るときは、振込先の登録と限度額の引き上げを数日前に済ませておく必要があります。

ドコモSMTBネット銀行の個人の1日の振込限度額は、0円から1,000万円の範囲で設定します(1万円単位・2026年10月時点)。帰りの振込で1,000万円を超える資金を戻すなら、事前の手続きが要ります。

期限前日の夜や週末の振込は、その日のうちに着金しないことがある

銀行間の振込は、全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)の全銀システムを通ります。平日日中の処理に加え、2018年10月からは平日夜間と土日祝日に即時入金するモアタイムシステムが動いています。

モアタイムシステムに参加していない銀行もあります。その接続時間は平日8時30分〜15時30分で、12月を除く月末の平日は前後1時間広がります(全銀ネット 全銀システム利用金融機関一覧)。

参加している銀行も、夜間や休日の取扱時間は銀行ごとに異なります。取扱時間外の振込は即時入金されず、翌営業日の扱いや振込予約になります。

キャンペーンの受付期限が日曜日の場合、金曜日の夕方以降に送った資金が月曜日まで着金しないことがあります。期限の判定に使われるのが入金日か預入日かを要項で読み、平日の日中に着金する日程を組むと期限切れを避けられます。

定額自動入金は手数料がかからないが、締め切りのある資金移動には間に合いにくい

ネット銀行には、本人名義の他行口座から決まった額を引き落として入金する定額自動入金サービスがあります。

入金する側の銀行が引き落とす仕組みで、ドコモSMTBネット銀行では手数料が無料です(スルガ銀行Dバンク支店の口座からの引き落としを除く)。

ドコモSMTBネット銀行の場合、引落日は毎月5日か27日のどちらかで、入金は原則その4営業日後です。初回の引き落としは申込完了から8営業日後に来る引落日で、金額は1万円以上1千円単位です(2026年10月時点)。

申し込みから初回の入金まで、2週間から1か月余りかかる計算です。受付期間が数週間のキャンペーンに合わせて使うには、期間が始まる前から準備しておく必要があります。

自動入金による入金がキャンペーンの新規資金や他行からの入金として数えられるかは、銀行とキャンペーンで扱いが違います。新規資金の定義の型は定期預金キャンペーンの適用条件チェックリストにまとめています。

満期後に戻す振込まで含めて、資金を動かす順番を決める

帰りの振込には、預け先の銀行の無料回数が使えます。優遇ランクで無料回数が決まる銀行では、定期預金の残高がランクの判定に入るかどうかを先に読んでおきます。

ドコモSMTBネット銀行のスマプロランクは、円普通預金とSBIハイブリッド預金の月末残高、または給与受取と口座振替の有無で決まり、判定月の翌々月に適用されます(2026年10月時点)。

他行あての無料回数は、最も低いベーシックで月1回、残高1,000万円以上のプラチナVIPで月20回です。判定に使う残高に、定期預金は含まれていません。

普通預金から定期預金へ移すと判定上の残高は減り、3か月後の満期月にランクが下がっている場合があります。満期月の適用ランクをアプリで見ておくと、帰りの手数料を読み違えずに済みます。

資金を動かす前に、次の項目を順に確かめると、手数料と期限の両方で取りこぼしを減らせます。

  • 送金元の銀行でネット振込が使えるか、他行あての手数料と無料回数はいくらか
  • 上乗せ幅と期間から、税引後で増える利息が往復の手数料を上回るか
  • 振込先の登録と振込限度額の引き上げが、送金日までに間に合うか
  • 着金が平日の日中になる日程か、期限の判定は入金日と預入日のどちらか
  • 満期後に戻す振込は、預け先の無料回数の範囲に入るか

同じ時期に条件を比べたいキャンペーンは、定期預金キャンペーン金利の比較一覧に載せています。

金利・キャンペーン条件は記載時点のものです。預け入れ前に各行の最新の金利表でご確認ください。

参考・出典


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