定期預金よりも高利回り?利回り7%の「みんなで大家さん」にリスクはない?

安全な預金とリスクのある投資を比較するイメージ

※本記事は2017年7月時点の内容です。出資型・投資型の商品は元本割れの可能性があり、事業の状況は時間とともに変化します。出資を検討する際は、最新の事業状況や開示情報、行政からの公表内容などをご自身で必ずご確認ください

定期預金よりも高利回りを売り文句に大々的に宣伝されていた「みんなで大家さんシリーズ」。当時の最新シリーズ「みんなで大家さん伊勢・伊勢Ⅱ」は、三重県にある「伊勢・安土桃山文化村」を投資対象として50億円規模の出資を募り、想定利回りは7%とされていました。国内の不動産投資のスタンダードと言えるJ-REITが3%台という状況で、2倍以上の想定利回りはかなりの高利回りといって過言ではありません。

また、その投資対象である「安土桃山文化村」は、100億円の費用をかけて安土城を大規模改修し、国外の富裕層向けに1泊500万円で安土城を貸し切りできるようにすることを発表していました。この100億円の費用の一部が「みんなで大家さん」シリーズで充当されるであろうことは、容易に想像できます。少し調べてみると、週刊東洋経済には「旧伊勢戦国時代村は出資金集めの舞台に」「気がかりな事実の数々 奇想天外な投資計画も」といった記事が掲載されていました。当サイトでは両者の関連性について言質をとったわけではなく、あくまで推測の域を出ませんが、「みんなで大家さん伊勢・伊勢Ⅱ」が想定利回りを出資者に還元し、かつ元本も毀損せず戻ってくるためには、この「富裕層向けの大改修」による集客(収益確保)の成功が必要条件になると考えておく必要がありそうです。

定期預金からは少し離れてしまいますが、定期預金と比較されがちなこの「みんなで大家さんシリーズ」。安土桃山文化村へ出資するというスキームが少し気になったので、当時の公開情報を調べてみました。

目次

伊勢・安土桃山文化村の集客数は?

三菱UFJリサーチ&コンサルティングが2016年5月17日に発表した東海3県主要集客施設の集客実態調査によると、安土桃山文化村の集客状況は以下のとおりです。

  • 施設名:伊勢・安土桃山文化村
  • 所在地:三重県伊勢市
  • 2014年度 年間来客人数:79,157人
  • 2015年度 年間来客人数:83,834人

かつては欽ちゃんが村長として立ち上がった歴史も

ざっくり年間入場者数は8万人程度です。さらに2008年11月22日の朝日新聞には「欽ちゃん、本気 伊勢の時代劇テーマパーク再生請負人に」という記事が掲載されていました。入場者の減少が続く時代劇テーマパーク「伊勢・安土桃山文化村」(三重県伊勢市二見町)の再生に、タレントの萩本欽一さんが立ち上がったという内容で、「伊勢・安土桃山文化村は、開業した93年には約180万人が訪れたが、(前年は)約10万人に落ち込んだ」と続いています。つまり、1993年に180万人が訪れていたものが、2007年は10万人まで落ち込み、2014年・2015年には約8万人まで落ち込んでいるということになります。なお、2009年2月25日の伊勢志摩経済新聞には、欽ちゃんプロデュースの「ちょんまげワールド伊勢 安土桃山文化村」の集客が好調で、2008年10月:前年同月比139%、11月:163%、12月:106%、2009年1月:119%と4か月連続で集客増の実績を挙げていたことが紹介されており、当時は実績を上げていたことがわかります。一方で入場料金は4900円から2500円に減額していたようなので、入場料収益自体は減少していたことが予想できます(収益源は入場料だけではないため、値下げを否定するわけではありません)。

富裕層向けに戦略変更

これらの記事から、欽ちゃんがサポートに立ち上がってやや立て直せつつあった集客も長くは続かず、当時は欽ちゃんがサポートを始める前の10万人を大きく下回り、8万人規模になっていた歴史が垣間見えます。富裕層向けに注力する戦略へ舵を切ったのも、値下げをしても集客増が続かなかったことが影響していそうです。

みんなの大家さん伊勢・伊勢Ⅱのリスクは?

さて、みんなで大家さんシリーズに話を戻します。投資先である伊勢・安土桃山文化村が苦戦している状況で、一大プロジェクトとして立ち上げた改修工事により集客・収益を右肩上がりにもっていけるかが重要なポイントだと考えると、リスクは相応に高そうです。しかも1泊500万円の宿泊施設で収益をあげるという計画ですから、リスクがないとは言い切れません。

ハイリターンにはハイリスクがあって当たり前

別の視点ですが、「伊勢・安土桃山文化村」は改修費用を「銀行の融資」に求めなかったのでしょうか。銀行は優良な融資先を常に探していますので、優良な融資先であれば喜んで融資するはずです。それが叶わないので、高い還元率の個人からの出資で資金を集めたのではないかと推測してしまいます(実際には一部に銀行融資が含まれる可能性もあります)。

思いのほかネガティブな内容になってしまいましたが、ハイリターンにはハイリスクがあるのが基本です。ハイリターンをうたい文句にしている投資商品に手を出すときは、必ずリスクが伴うものだと理解しておきましょう。定期預金は残念ながらローリターンですが、その代わり、元本保証・預金保険の対象(1金融機関あたり元本1,000万円とその利息まで保護)となるローリスクな預け先です。

少なくとも、みんなで大家さんシリーズのような出資型商品を検討するときは、元本が毀損する・戻ってこないリスクがある前提で、最新の開示情報を確認したうえで判断するようにした方がよいでしょう。


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