みんなで大家さんのリスク|2026年9月の許可取消と定期預金との違い

「みんなで大家さん」シリーズの運営会社である都市綜研インベストファンドは、2026年9月1日に大阪府から不動産特定共同事業の許可を取り消されました。販売を担うみんなで大家さん販売も同じ日に東京都から許可を取り消されています。想定利回り7%前後を示して出資を集めた商品で、元本が保証される定期預金とは別物です。
この記事はもともと2017年に、伊勢・安土桃山文化村を投資対象とした「みんなで大家さん伊勢・伊勢Ⅱ」(想定利回り7%)のリスクを考えたものでした。その後の行政処分と償還の遅れを受け、2026年10月9日時点の公表資料と報道にもとづいて全面的に書き改めています。
大阪府が示した許可取消しの理由
大阪府の公表資料では、処分の内容は許可の取消しと指示です。理由の一つは財産的基礎で、2025年度の事業報告書では資産から負債を引いた額がマイナス約2,881億円でした。資本金(約29億円)の90%以上という法律の基準を満たしていません。
もう一つは、情状が特に重いと判断された違反です。賃料の不払いがあるのに、契約前の書面で「該当なし」と記載して交付した商品が9件(事業参加者280名・出資金6億4,300万円)ありました。
償還期日までに出資金を返せていない商品も9件あり、対象は7,511名・約188億円にのぼります。府は、今後期日を迎える29件(事業参加者65,269名・約1,724億円)についても、期日どおりの全額返還は極めて困難と認定しました。
許可が取り消されても、すでに結んだ契約の業務を終えるための範囲では事業者とみなされます。府は、事業参加者の間の公平に配慮して業務を終えることや、会社の財産を不当に使わないことなどを指示しています。運営会社のグループは同日、処分を重大なものとして受け止めるとする見解を自社サイトに掲載しました。
(出典:大阪府「不動産特定共同事業者に対する処分について」2026年9月1日)
2024年の業務停止命令から集団訴訟まで
同社は2024年6月にも、大阪府から業務停止命令と指示処分を受けていました。今回の府の資料は、その処分のあとに同じ種類の違反が再び起きたことも理由に挙げています。
分配金の支払いや償還が滞るなかで、出資者が出資金の返還を求める訴訟も相次いでいます。大阪地裁は2026年3月26日に原告3人へ約1,714万円の全額返還を命じ(朝日新聞)、6月10日には59人と1企業への約3億5,200万円の返還を命じました(時事通信)。
判決で返還が命じられても、実際にどこまで戻るかは運営会社の財産しだいです。府の資料では、会社の固有勘定の現金預金は約9,241万円にとどまり、保有資産には差押えなどが入っていると記載されています。
定期預金と出資型商品の違い
定期預金と比べられることの多い商品ですが、元本の扱いと保護の仕組みが根本から違います。主な違いを同じ項目で並べました。
| 比較の観点 | 定期預金 | 不動産特定共同事業の出資 |
|---|---|---|
| 元本 | 満期に預けた元本が戻る | 保証されない。事業が悪化すると減る、戻らないことがある |
| 破綻時の保護 | 預金保険の対象(1金融機関あたり元本1,000万円とその利息) | 預金保険の対象外 |
| 利回り | 預入時に金利が決まる | 想定利回りは見込み。分配が止まることがある |
| 途中で現金にする方法 | 中途解約利率で解約できる | 解約や契約上の地位の譲渡は契約ごとの定めによる |
預金保険の範囲は預金保険機構の制度概要で確認できます。詳しくは当サイトの預金保険制度(ペイオフ)で保護される範囲の解説にまとめています。
高い想定利回りの商品で先に確かめること
今回の処分理由には、運営会社の財務と書面の記載内容の両方が含まれていました。出資を考えるときは、利回りの数字より前に次の点を一次資料で確かめます。
- 許可の有無と、都道府県・国による行政処分の履歴
- 運営会社の決算公告と純資産の水準
- 対象不動産から賃料が実際に入っているか、開発前の土地か
- 償還の期日と、返済の原資がどこから出るのか
2017年の記事でも、高い利回りにはそれだけのリスクが伴うと書きました。元本を守りたい資金は預金保険の対象になる定期預金に置き、元本割れのある商品とは分けて管理するのが堅実です。金利の上乗せと引き換えに条件が付く預金については仕組預金のリスクを整理した記事、預け先の銀行そのものの健全性は自己資本比率や格付けで銀行の安全性を確かめる方法も参考になります。


















