預金の利息は扶養・国保の所得に入る?会社の健保は別基準

定期預金や普通預金の利息は、税の扶養控除や国民健康保険料を計算するときの所得に含まれません。受け取る時点で20.315%が差し引かれ、それで課税が終わる源泉分離課税の対象だからです。
利息がいくら増えても、配偶者控除や扶養控除の判定、住民税の所得割、国保の所得割は変わりません。例外は会社の健康保険の被扶養者の判定で、預金の利子を年間収入に含めると明記している健康保険組合があります。
税の扶養の判定に使う合計所得金額から、預金の利息は除かれる
扶養控除の対象になる家族は、年間の合計所得金額が62万円以下(令和8年分)の人です。令和7年分は58万円以下で、62万円は令和8年12月1日に施行され、令和8年分から適用されます。
国税庁は、配偶者控除の判定に使う合計所得金額から除かれる所得として、源泉分離課税とされる預貯金や一般公社債等の利子などを挙げています(国税庁 No.1190)。
扶養控除も、同じ合計所得金額で判定します(国税庁 No.1180)。親が年金と定期預金の利息を受け取っていても、判定で数えるのは年金の所得だけです。
1,000万円を年0.500%で1年預けた利息は、税引前で5万円です。この5万円は、扶養に入れるかどうかを決める数字には加わりません。
住民税は利子割5%で完結し、所得割の計算には入らない
利息から差し引かれる20.315%のうち5%は、住民税の利子割です。利息を支払う金融機関が差し引いて都道府県に納めるため、預金者が申告する必要はありません。
総務省の資料は、利子割は申告ができないため所得割との調整はないと説明しています(総務省「利子割の概要」)。住民税の所得割は、預金の利息を除いた所得で計算されます。
反対に、住民税が非課税の人の利息からも5%は差し引かれます。所得が少ないことを理由に、申告して利子割を取り戻す仕組みはありません。
国民健康保険料の所得割も、利息を数えずに計算される
国保の所得割は、前年の総所得金額等から基礎控除43万円を差し引いた金額に、市区町村ごとの料率をかけて計算します(奈良市「保険料の算定」)。
総務省の資料も、国民健康保険料の負担額は住民税の総所得金額をもとに計算されると示しています(総務省「個人住民税における金融所得課税について」)。預金の利息で国保料が増えることはありません。
75歳以上の後期高齢者医療の窓口負担割合も、住民税の課税所得と、年金収入にその他の合計所得金額を足した金額で判定します(政府広報オンライン)。この判定にも預金の利息は加わりません。
預金の利息を数える制度と数えない制度
制度ごとに、判定や計算に使う所得と、預金の利息の扱いを表にすると次のようになります(2026年10月時点)。
| 判定・計算 | 使う所得・収入 | 預金の利息 |
|---|---|---|
| 所得税の扶養控除・配偶者控除 | 合計所得金額(令和8年分の扶養親族は62万円以下) | 含まれない |
| 住民税の所得割 | 総所得金額等 | 含まれない(利子割5%で完結) |
| 国民健康保険料の所得割 | 総所得金額等から基礎控除43万円を引いた金額 | 含まれない |
| 後期高齢者医療の窓口負担割合 | 住民税の課税所得、年金収入+その他の合計所得金額 | 含まれない |
| 会社の健康保険の被扶養者 | 今後1年間の年間収入の見込み(原則130万円未満) | 含める健康保険組合がある |
税と国保は所得で判定し、会社の健康保険は収入で判定します。数える対象が違うので、同じ利息でも結果が分かれます。
会社の健康保険の被扶養者は、税とは別の年間収入で判定される
健康保険の被扶養者になるには、年間収入が原則130万円未満であることが条件です。60歳以上などは180万円未満、19歳以上23歳未満(配偶者を除く)は150万円未満です。
日本年金機構は、年間収入を過去の収入ではなく、認定された日以降の年間の見込み収入額と説明しています(日本年金機構「家族を被扶養者にするとき」)。給与と年金のほかに何を数えるかは、加入先の健康保険の基準で決まります。
確認した4つの健康保険組合は、預金の利子を収入に含めていた
2026年10月25日に、4つの健康保険組合と日本年金機構の公式の案内で、預金の利子の扱いを当編集部が確認しました。結果は次のとおりです。
| 確認先 | 預金の利子 | 案内の記載 |
|---|---|---|
| パナソニック健康保険組合 | 含める | 継続的に生じる収入として、預貯金や公社債などの利子を挙げる |
| 日立健康保険組合 | 含める | 株配当・利子などは年額130万円未満で判定。定期的に入るものを収入とみて、一括で支払われるものは除く |
| JFE健康保険組合 | 含める | 課税・非課税に関わらず、利子・配当金を収入の例に挙げる(退職金・一時所得は除く) |
| 全国硝子業健康保険組合 | 含める | 年間収入の内訳に利子収入を挙げる |
| 日本年金機構(協会けんぽの被扶養者の届出) | 記載なし | 年間収入を見込み収入額と説明し、利子についての記載はない |
税の判定では除かれる利息も、確認した4組合では被扶養者の収入として数えられます。協会けんぽに加入している人は、利子の扱いを届出の窓口に問い合わせると確実です。
日立健康保険組合は、一括で支払われるものは除くとしています。満期にまとめて受け取る定期預金の利息がどちらに当たるかは、案内からは読み取れませんでした。
利息だけで130万円に届くには、億単位の預金が要る
利子を収入に数える組合でも、利息だけで基準を超える人は限られます。大手ネット銀行の1年ものの年0.500%(2026年10月24日、当サイト調べ)を例に、税引前の年間利息を試算しました。
| 元本 | 年0.500% | 年1.000% |
|---|---|---|
| 300万円 | 15,000円 | 30,000円 |
| 1,000万円 | 50,000円 | 100,000円 |
| 3,000万円 | 150,000円 | 300,000円 |
単利・1年分・税引前の金額です。健康保険組合が税引前と税引後のどちらで数えるかは、組合の案内で確かめる必要があります。
利息だけで130万円に届く元本は、年0.500%で2億6,000万円、年1.000%でも1億3,000万円です。180万円の基準なら、それぞれ3億6,000万円と1億8,000万円です。
影響が出やすいのは、給与や年金がすでに基準の近くにある人です。パートの給与が年125万円の人が3,000万円を年0.500%で預けると、利息15万円を足して140万円になります。
利子を収入に数える組合では、この場合は130万円を超える計算です。夫婦の一方の名義に預金が集まっている家庭は、名義と健康保険の基準を合わせて確認しておく必要があります。
申告すると合計所得に入る利子もある
国債などの特定公社債の利子は、預金の利子と扱いが違います。源泉徴収されたうえで申告分離課税の対象になり、確定申告をしないことも選べます(国税庁 No.1310)。
申告をしないと選んだ利子は、合計所得金額から除かれます。確定申告をした場合は合計所得金額に入り、奈良市の案内のとおり国保の総所得金額等にも加わります。
個人向け国債と定期預金の比べ方は、国債と定期預金の比較の記事で紹介しています。扶養内の家族が国債を持つ場合は、申告するかどうかで判定が変わります。
預金の利息にかかる税金の内訳は、預金利息の税金20.315%の内訳で説明しています。令和9年分から所得税の内訳に防衛特別所得税が加わりますが、預金の利子が源泉分離課税で終わる点は同じです。
扶養内の家族が預け先を選ぶときの確認点
- 税の扶養控除・配偶者控除と国保料は、預金の利息で判定が変わらない。
- 会社の健康保険の扶養に入っている人は、加入先の健康保険組合の基準で利子の扱いと、税引前か税引後かを調べる。
- 国債など申告を選べる利子は、申告すると扶養の判定と国保料の両方に影響する。
- 給与や年金が基準に近い人は、利息を足した年間収入で試算してから預け先と名義を決める。
税金そのものを軽くする預け方には、勤務先を通じた財形貯蓄があります。対象者と非課税の上限は、財形貯蓄の非課税枠550万円の記事で紹介しています。
税制と保険料の基準は記載時点のものです。預け入れや扶養の手続きの前に、加入している健康保険と市区町村の最新の案内でご確認ください。
参考にした公的機関の資料
- 国税庁 No.1190 配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるか
- 国税庁 No.1180 扶養控除
- 国税庁 No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得)
- 総務省 利子割の概要(令和7年2月28日)
- 日本年金機構 家族を被扶養者にするとき


















