寄付型定期預金の仕組み|利息は減らず寄付金控除も対象外

寄付型定期預金(応援定期預金)の多くは、寄付のお金を銀行が出す仕組みで、預金者の利息は減りません。金利は通常の定期預金と同じか、初回満期まで少し高い特別金利です。
そのかわり寄付をするのは銀行なので、預金者は寄付金控除を受けられません。得か損かは、店頭限定や中途解約不可といった条件の重さで決まります。
寄付の原資は銀行の負担で、預金者の利息からは引かれない
地方銀行やネット銀行が扱う寄付型定期預金は、預入額や残高の一定割合を、銀行が自治体や団体に寄付する商品です。
2026年10月時点で取扱中の大和ネクスト銀行と、9月に取扱いを終えた埼玉りそな銀行・トマト銀行の3商品は、いずれも銀行が寄付を負担する方式でした。
商品要項に「利息の一部を寄付にあてる」とある商品なら、受取額が減ります。この場合は、寄付の名義と差し引かれる額を要項で確認してから預けてください。
どちらの方式でも、利息には20.315%(所得税15.315%・住民税5%)の源泉分離課税がかかります。税金の内訳は預金利息の税金20.315%の内訳の記事で紹介しています。
金利の決まり方は通常と同じ・特別金利・成績連動の3通り
銀行が寄付を負担する場合、預金者にとっての違いは、金利の決まり方と預け入れの条件に表れます。
| 金利の決まり方 | 預金者の金利 | 寄付の出どころ | 通常の定期より重くなりやすい条件 |
|---|---|---|---|
| 通常と同じ金利 | 通常の定期預金と同じ店頭表示金利 | 銀行が預入額や残高の一定割合を負担 | 店頭のみ・中途解約不可・応援先の変更不可などの手続き面 |
| 特別金利 | 店頭表示金利より高い特別金利(初回満期まで) | 銀行が新規預入総額の一定割合を負担 | 新たな資金に限る・取扱店舗の限定・募集枠に達すると終了・他の優遇と併用不可 |
| 成績連動 | 店頭表示金利に、チームの順位などに応じた上乗せ(成績によっては上乗せなし) | 上乗せ分は銀行が負担(寄付を伴わない商品もある) | 上乗せ幅が預入時点では決まらない |
成績連動の商品は、上乗せ幅がシーズン終了まで決まりません。広告の「最大+◯%」は最も良い結果のときの数字で、預入時点の確定金利と同じには扱えません。
3商品の条件と2026年10月時点の取扱状況
取扱中の大和ネクスト銀行と、9月に取扱いを終えた埼玉りそな銀行・トマト銀行の条件は次のとおりです。取扱期間や金利は変わりますが、要項で見る欄は共通です。
大和ネクスト銀行「応援定期預金」は取扱中で、金利は通常の円定期と同じ
大和ネクスト銀行の応援定期預金は、預入金額に一定の割合をかけた額を銀行が寄付し、預金者の負担はありません。
円1年ものの金利は年1.60%(税引後 年1.274%・2026年10月時点)で、同行の通常の円定期預金1年ものと同じ水準です。
応援先は一覧から預金者が選びます。預け入れ後は応援先を変えられず、原則として中途解約もできません。
同じ時期の他のキャンペーンは対象外です。満期に自動継続すると継続日の応援定期預金金利が適用され、寄付ができない事情が生じた場合は自動解約に切り替わることがあります。
円での預け入れは預金保険の対象で、外貨で預ける場合は対象外です。銀行は、寄付を証する書面は発行しないと明記しています。
埼玉りそな銀行「道徳銀行預金」は2026年9月30日で取扱期間が終了
埼玉りそな銀行の道徳銀行預金は、定期預金残高の0.01%相当額を、銀行が埼玉県の「こども食堂・未来応援基金」に寄付する商品です。
金利は通常の定期預金と同じで、6ヵ月もの・100万円以上・店頭での預け入れのみという条件でした。取扱期間は2026年4月1日から9月30日までです。
100万円を預けた場合に銀行が寄付する額は100円で、預金者の利息には影響しません。
トマト銀行「応援定期預金」は特別金利の枠が2026年9月9日に終了
岡山県のトマト銀行は、ファジアーノ岡山など3つの応援先に、新規預入総額の0.20%を銀行が寄贈する応援定期預金を扱いました。寄贈額には応援先ごとの上限(200万円など)があります。
こちらは特別金利の商品で、対象は窓口で預ける30万円以上の新たな資金でした。特別金利は初回の預入期間だけで、中途解約すると適用されず、他の金利優遇とも併用できません。
取扱期間は2026年7月1日から9月30日まででしたが、特別金利の枠が募集総額に達し、9月9日で取扱いを終えています。
100万円を1年預けた場合の利息と寄付の額
大和ネクスト銀行の円1年もの(年1.60%・2026年10月時点)に100万円を預けた場合の受取額と、銀行の寄付額は下の表のとおりです。
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 税引前の利息 | 16,000円 | 100万円×年1.60%×1年 |
| 所得税(復興特別所得税を含む) | 2,450円 | 15.315%・1円未満切り捨て |
| 住民税 | 800円 | 5% |
| 税引後の受取額 | 12,750円 | 預金者が受け取る利息 |
| 銀行の寄付(仮定) | 2,000円 | 寄付の割合を0.20%と仮定した場合・銀行の負担 |
大和ネクスト銀行は寄付の具体的な割合を示していないため、表ではトマト銀行と同じ0.20%と仮定しています。この2,000円は銀行が別に負担する額で、12,750円の受取額は寄付の有無で変わりません。
同じ100万円を同行の通常の円定期1年ものに預けても、金利は同じ年1.60%なので受取額は同額です。違いが出るのは、中途解約や応援先の変更ができないといった条件の部分です。
寄付金控除は預金者には付かない
所得税の寄附金控除は、納税者本人が国や地方公共団体、特定公益増進法人などに特定寄附金を支出したときに受けられる控除です。
確定申告では、寄付先が交付した受領証を添付するか提示します(国税庁 タックスアンサー No.1150 寄附金控除)。
寄付型定期預金で寄付をするのは銀行なので、預金者に受領証は出ず、控除も受けられません。預金者の税負担は増えも減りもしません。
控除も受けたい場合は、預金は金利と条件で選び、寄付は自分の名義で別に行う方法があります。
預ける前に通常の定期預金と比べる4項目
寄付型定期預金が得かどうかは、同じ資金を条件の少ない定期預金に預けた場合との差で決まります。
- 税引後の受取額。金利が通常と同じ商品なら差はありません。特別金利の商品は、初回満期までの特別金利が、ネット銀行の常設金利より高いかどうかで判断できます。
- 預け入れの方法と店舗。店頭のみ・取扱店舗限定の商品は、その地域で来店できる人に限られます。
- 期間中の自由度。中途解約不可、解約時は特別金利なし、応援先の変更不可といった条件は、通常の定期預金より重くなりがちです。急に資金が要る可能性がある人は、金利差と比べて決めてください。
- 満期後の扱いと募集枠。特別金利は初回満期までで、満期後は店頭表示金利に戻る商品が多く見られます。募集総額に達すると期間内でも終わります。自動継続の扱いは定期預金の自動継続とキャンペーン金利の記事で解説しています。
4項目で差がない、または金利差が条件に見合うなら、預けたお金とは別に銀行の寄付が地域へ回る定期預金として使えます。金利表示の読み方は店頭表示金利・特別金利・優遇金利の違いで紹介しています。
円建ての寄付型定期預金は通常の定期預金と同じく預金保険の対象で、1金融機関ごとに元本1,000万円までとその利息等が保護されます(預金保険機構)。
金利・取扱期間・寄付の条件は記載時点のものです。預け入れ前に各行の最新の金利表と商品要項でご確認ください。

















