預金口座とマイナンバー|届け出は任意、残高は国に伝わらない

預金口座にマイナンバーをひも付けるかどうかは、預金者本人が決めます。銀行にマイナンバーを届け出なければ口座に番号は付きませんし、届け出たことで銀行が国に残高を知らせることもありません。
届け出ておくと、亡くなった後や被災したときに、口座がどの金融機関にあるかを1か所の窓口で調べてもらえます。2024年4月施行の口座管理法で始まった仕組みです。
当編集部は2026年10月31日に、大手行・ゆうちょ銀行・ネット銀行の計9行について、マイナンバーの届け出方法と照会の受付を公式の案内で確認しました。結果は記事の中ほどの表にあります。
口座にマイナンバーが付くのは、本人が届け出たときだけ
預貯金口座付番制度とは、預金者が金融機関にマイナンバーを届け出て、口座に番号を付ける仕組みのことです。根拠は口座管理法(預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律)です。
デジタル庁のよくある質問では、口座開設のときや店頭で100万円を超える国外送金をするときに届け出の意向を聞かれると説明しています。ただし、本人が届け出ないまま口座に番号が付くことはありません。
窓口やアプリで意向を聞かれても、届け出ないと答えることができます。デジタル庁は、金融機関などへのマイナンバーの届け出は任意だと発表の中で明記しています。
法律の施行より前から、銀行は国税通則法などを踏まえ、預金者にマイナンバーの届け出への協力を求めてきました。窓口で番号を聞かれる場面が以前からあるのは、このためです。
届け出ても、銀行が国に預金残高を知らせることはない
デジタル庁は、マイナンバーの届け出をきっかけに金融機関が国や自治体へ預金残高を伝えることはないと明記しています(2025年4月1日の発表・よくある質問A9-6)。
国が口座の情報を調べられるのは、法令に基づく税務調査や、生活保護などの資力調査を行う場合に限られます。これはマイナンバーの届け出の有無にかかわらず、以前から同じです。
付番で変わるのは、届け出た口座を金融機関が番号で検索できるように管理する点です。残高が定期的にどこかへ報告される仕組みは、制度のどこにもありません。
公金受取口座を登録しても、ほかの口座に番号は付かない
公金受取口座登録制度は、これとは別の制度です。年金や所得税の還付金、児童手当などを受け取る口座として、1人1口座を国(デジタル庁)に登録する仕組みで、口座登録法に基づきます。
デジタル庁は、公金受取口座を登録していても、金融機関への届け出なしに預金口座へマイナンバーが付くことはないと説明しています。2つは手続きも目的も別の制度です。
| 項目 | 預貯金口座付番(口座管理法) | 公金受取口座の登録(口座登録法) |
|---|---|---|
| 届け出る先 | 金融機関(マイナポータル経由も可) | 国(デジタル庁) |
| 対象の口座 | 届け出た金融機関にある本人名義の全口座 | 本人名義の1口座だけ |
| 使われる場面 | 相続時・災害時の口座の所在の照会 | 給付金・年金・還付金などの受け取り |
| あとからの取り消し | 原則できない | 変更・抹消ができる |
デジタル庁によると、公金受取口座はマイナポータルか金融機関で、いつでも変更や抹消ができます。付番のほうは取り消せないため、届け出る前に対象となる口座の範囲を知っておく必要があります。
付番は銀行ごとに全口座が対象で、口座を選んで付けることはできない
付番する金融機関は選べますが、その金融機関の中で口座を1つずつ選ぶことはできません。普通預金にだけ付けて定期預金には付けない、という分け方はできない仕組みです。
デジタル庁のよくある質問では、原則として付番が終わった後に取り消すことはできないとしています。休眠口座など管理の状況によって付番されない口座がある点も、同じ回答に書かれています。
長く動かしていない口座は付番されず、照会しても見つからないことがあります。使っていない口座は、付番の前に解約するか残すかを決めてください。
2025年4月からは、1か所の届け出でほかの銀行にも付けられる
口座管理法は2024年4月1日に施行され、2025年4月1日から手続きが広がりました。1つの金融機関かマイナポータルで届け出ると、預金保険機構を経由して、ほかの金融機関の口座にもまとめて番号を付けられます。
マイナポータルから申し込むには、マイナンバーカードと読み取りができるスマートフォンなどが必要です。窓口で申し込む場合は、マイナンバーと氏名・住所・生年月日を確認できる書類を持参します。
ほかの金融機関への付番の結果は、預金保険機構から郵送で届きます。通知は転送されない郵便で送られるため、申し込んだ後に引っ越すと受け取れず、申し込み直しになります。
デジタル庁によると、届け出た氏名・住所が住民票と一致しないと付番できないことがあります。結婚や転居で変わった場合は、先に各行の登録情報を新しくしておくと手続きが止まりません。
一部の金融機関は、ほかの金融機関経由での届け出や照会の対象から外れています。デジタル庁が一覧を公表しており、2026年10月13日に更新されました。
9行の公式案内で、届け出の方法と照会の受付を調べた結果
2026年10月31日に、9行の公式サイトにあるマイナンバーの案内ページを開き、同じ項目で比べました。表の「記載なし」は、確認したページに書かれていなかったという意味です。
| 銀行 | 届け出の方法 | ほかの金融機関への付番 | 相続時口座照会 | 災害時口座照会 |
|---|---|---|---|---|
| 三菱UFJ銀行 | アプリ・窓口 | 受け付ける | 受け付ける | 案内あり |
| みずほ銀行 | アプリ・来店 | 受け付ける | 受け付ける | 店頭で受け付ける |
| 三井住友銀行 | 店頭(個人はマイナポータルも可) | 記載なし | 受け付ける | 受け付ける |
| りそな銀行 | 支店窓口・マイナポータル | 受け付ける | 記載なし | 記載なし |
| ゆうちょ銀行 | 郵便局の貯金窓口・ゆうちょ銀行の店舗(ゆうちょダイレクトは不可) | 受け付ける | 記載なし | 記載なし |
| ソニー銀行 | ウェブ(マイナンバーカードとスマートフォン)、ない場合は書面 | 受け付ける | 受け付ける | 受け付けない |
| ドコモSMTBネット銀行 | ウェブ・アプリ | 受け付ける | 制度の案内のみ | 受け付けない |
| PayPay銀行 | 画像のアップロード・郵送 | 受け付ける | 手数料の案内あり | 記載なし |
| auじぶん銀行 | インターネットバンキング | 受け付ける | 受け付ける(郵送) | 記載なし |
※2026年10月31日に各行の公式サイトで確認(当編集部調べ)。手続きの方法は変わることがあります。
9行のうち6行は、銀行のアプリやウェブサイトで届け出ができます。ゆうちょ銀行はゆうちょダイレクトからは届けられず、郵便局の貯金窓口か店舗で手続きするよう案内しています。
ほかの金融機関への付番を受け付けると明記していたのは8行でした。どこか1行で届ければ足りるので、ネットで届け出られる銀行に口座があれば、窓口へ行かずに手続きできます。
災害時口座照会は、ネット銀行2行が自社では受け付けないと明記していました。被災したときは、受付をしている店舗のある金融機関へ出向くことになります。
亡くなった後、家族は1か所で口座の所在を調べられる
相続時口座照会とは、相続人が1つの金融機関の窓口で申し込むと、預金保険機構が各金融機関に照会し、亡くなった人の付番済みの口座を知らせる仕組みのことです。相続人のうち1人で申し込めます。
預金保険機構の案内では、手数料は申込み1件につき5,060円(税込)で、受付後は原則として返金されません。照会できるのは亡くなってから10年後までです。
通知されるのは金融機関名・支店名・預金の種類・口座番号・名義で、残高は含まれません。残高は、分かった銀行ごとに残高証明書を取り寄せて確かめます。
見つかるのは本人が生前に付番していた口座だけです。届け出ていない銀行に定期預金があっても、照会の結果には出てきません。通帳や郵便物での確認と合わせて進める必要があります。
申し込むと、照会先の金融機関に亡くなったことが伝わり、口座の取引が止まることがあります。止まった口座から葬儀費用などを引き出す方法は遺産分割前の払戻し制度で解説しています。
被災して通帳をなくしても、口座のある銀行を調べられる
災害時口座照会は、災害救助法が適用された地域に住んでいた人が、通帳やカードがなくても自分の口座を調べられる仕組みです。被災前に付番していることが条件になります。
デジタル庁によると、照会できるのは指定した1つの金融機関の口座で、申し込んだ金融機関から結果が知らされます。みずほ銀行の案内では、店頭で原則当日中に通知するとしています。
マイナポータルからは申し込めず、マイナンバーと本人を確認できる書類が要ります。避難するときにマイナンバーカードなどを持ち出せたかどうかで、その場で照会できるかが決まります。
届け出ても、利息の税金と預金保険の扱いは変わらない
定期預金の利息は、受け取るときに20.315%が差し引かれて課税が終わります。マイナンバーを届け出ても、この源泉分離課税の仕組みや手取りの額は変わりません。
100万円を年0.500%の1年定期に預けた場合、税引前の利息5,000円から1,015円が引かれ、受け取るのは3,985円です。税の内訳は預金利息の税金20.315%の内訳の記事で紹介しています。
預金保険で守られる範囲も、1つの金融機関ごとに預金者1人あたり元本1,000万円と破綻日までの利息で同じです。付番の有無で保護の上限が増えたり減ったりすることはありません。
預け先を何行かに分けている人が、届け出る前に決めておくこと
保護の上限に合わせて定期預金を3行、4行と分けている人ほど、家族が全部の口座を見つけるのは難しくなります。分け方の考え方は預金保険制度(ペイオフ)の解説にあります。
届け出るかどうかを決める前に、次の点を自分で確かめておくと、後で困ることが減ります。
- 付番したい銀行と、付けたくない銀行がそれぞれどこか(銀行単位で全口座が対象になる)
- 各行に登録している氏名・住所が、いまの住民票と同じか
- 家族が照会を使うとき、付番していない銀行の口座をどう伝えるか
付番した銀行にある口座は、照会すれば家族が見つけられます。付番しない場合は、銀行名と支店名を書いた一覧を家族と共有しておくと、相続の手続きで探す手間が省けます。
また、マイナンバーの管理に不備があると言って銀行員がお金を求めることはないと、三井住友銀行は案内で注意を促しています。電話やメールでそう言われたら、取引銀行の窓口に問い合わせてください。
手続きの方法と手数料は記載時点のものです。届け出や照会の前に、取引している銀行の最新の案内でご確認ください。
参考・出典
- デジタル庁「よくある質問:預貯金口座付番制度について」(2026年3月31日更新)
- デジタル庁「預貯金口座付番制度等の拡充について」(2025年4月1日)
- デジタル庁「預貯金口座付番制度」
- デジタル庁「一部手続きの対象外となる金融機関」(2026年10月13日更新)
- デジタル庁「公金受取口座登録制度」
- 預金保険機構「口座登録法及び口座管理法に基づく業務」


















