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定期預金のラダリングとは?金利上昇に備える賢い使い方を解説

当分使う予定のないまとまった資金を、少しでも有利に・安全に管理したい――そんなときに役立つのが「定期預金のラダリング」という考え方です。日本が利上げ局面に入り、預金金利が動き始めた今こそ、その利点が見直されています。仕組みと使いどころを、具体例でわかりやすく解説します。

目次

定期預金のラダリングとは

「定期預金のラダリング」という言葉をご存じでしょうか。金融の世界では、満期日をずらした複数の金融商品を組み合わせて持つことを「ラダリング(Laddering)」と言います。語源は「はしご(ladder)」。はしごの段のように満期日が1段1段続いていくイメージです。

円定期預金でも同じように、満期日をずらした複数の定期預金を持つことで、さまざまな効果が得られます。少しわかりにくいので、具体的な例で確認してみましょう(以下の金利は仕組みを説明するための例で、実在する商品の金利ではありません)。

たとえば、当分使う予定のないお金が500万円あったとします。これを預入期間5年・年0.5%の円定期預金に1口でまとめて預けたのがAさん。いっぽう、1年もの(年0.1%)・2年もの(年0.2%)・3年もの(年0.3%)・4年もの(年0.4%)・5年もの(年0.5%)の定期預金5口に100万円ずつ分けて預けたのがBさんです。いわゆる「ラダリング」を使っているのがBさんですね。

効果①・・・金利上昇に備える

何ごともなく5年間が過ぎた場合、単純計算で受け取った利息の合計はAさん>Bさんになります。金利が高い5年ものに全額を預けているのですから、当然と言えば当然です。

ただし、ここで忘れてはいけないのは、Bさんは毎年、100万円の定期預金が満期を迎えているということです。「Aさん>Bさん」と確実に言えるのは、「Bさんが毎年の満期で何もしなかった」という前提に立った場合だけです。

もし1年後に日本の金利がさらに上昇し、たとえば年1.0%の定期預金が使えるようになったとしたらどうでしょう。実際、日銀は2026年6月に政策金利を1.0%程度まで引き上げ、2026年8月には短期プライムレートの上昇を受けて預金金利の一段の上昇も見込まれています。1年後・2年後・3年後に迎える満期の都度、より高い金利の定期預金に預け替えられれば、5年後に受け取る利息はAさん<Bさんと逆転することもあり得ます。満期が分散していれば、金利が上がったときにそのチャンスを取りこぼしにくくなるのがラダリングの大きな利点です。

効果②・・・急な出費に備える

理由はなんでもよいのですが、たとえば「子どもが急に留学したいと言い出した」「結婚する家族に少し援助したい」といった事情で、まとまったお金が必要になったとします。ここでは、手元の流動性のある資金(普通預金など)とは別に100万円が必要になったとしましょう。

Aさんは「500万円の定期預金を中途解約してお金を用立てる」ことになります。いっぽうBさんは、5口あるうちの1口を中途解約するだけで済み、場合によっては満期まで待つだけで足りることもあります。

ご存じのとおり、定期預金は原則として満期まで持つべきものです。中途解約すると、約定していた金利ではなく「中途解約利率」が適用され、受け取れる利息が大きく減ってしまうためです(元本は原則そのまま戻ります)。Aさんは500万円すべてを中途解約しなければならず、利息が大幅に目減りします。Bさんは1口(100万円)を解約するだけで済むので、中途解約の影響を受ける資金を「1口/5口」に抑えられます。残る400万円については、しっかり当初の利息を受け取れるわけです。

※これは厳密には「ラダリング(複数の満期日に分ける)」というより、定期預金を小口に分ける効果(500万円を1口ではなく100万円×5口にする効果)ですが、ラダリングを使うと自然にこの効果も得られます。

定期預金のラダリングの理想形は?

定期預金は、原則として預入期間が長いほど金利が高くなります。かつての超低金利下では必ずしもそうではありませんでしたが、金利のある時代に入った今は、預入期間の長い定期預金ほど高い金利が適用されるという「本来の姿」に戻りつつあります。

したがって、預入期間の長い定期預金を組み合わせてラダリングするのが基本です。一般的な銀行では定期預金の最長は5年ですが、先ほどのBさんの方法をさらに続けると、次第に理想的な形へと変わっていきます。

  • 1年後・・・1年ものの100万円が満期 → 5年もの定期預金に預け入れ
  • 2年後・・・2年ものの100万円が満期 → 5年もの定期預金に預け入れ
  • 3年後・・・3年ものの100万円が満期 → 5年もの定期預金に預け入れ
  • 4年後・・・4年ものの100万円が満期 → 5年もの定期預金に預け入れ
  • 5年後・・・5年ものの100万円が満期 → 5年もの定期預金に預け入れ
  • 6年後・・・1年後に預け入れた5年ものが満期 → 5年もの定期預金に預け入れ(以下くり返し)

いかがでしょうか。最初は満期日を分散させるために期間の短い(=低金利の)定期預金も使いますが、5年経つとより金利の高い5年もの定期預金だけで、毎年きれいに満期を迎える形が完成します。資金を5口に分けて管理する、というわかりやすい方法で、無理なくラダリングが組めるわけです。

いまラダリングが見直されている理由

日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除し、その後も段階的に利上げを続けています。2026年6月には政策金利が1.0%程度(約31年ぶりの高水準)まで引き上げられ、預金金利も上昇局面に入りました。メガバンクの普通預金金利は2026年8月に年0.400%へ引き上げられ、定期預金の金利も全体として上向いています。今後の金利動向は誰にも断定できませんが、金利が動く局面でこそ、満期を分散して「金利が上がったら預け替える」余地を残しておくラダリングの利点が活きてきます。全額を1本の長期定期に固定してしまうと、その後に金利が上がっても満期まで動かしにくくなるためです(最新の金利情勢は日本銀行や各行公式でご確認ください)。

よくある質問(FAQ)

Q. 定期預金を中途解約するとどうなりますか?
満期前に解約すると、約定していた金利ではなく「中途解約利率」が適用され、受け取れる利息が大きく減るのが一般的です(元本は原則そのまま戻ります)。だからこそ定期預金は満期保有が基本で、ラダリングで小口に分けておくと、急な出費でも一部の解約だけで対応でき、影響を最小限にできます。

Q. 銀行が破綻したら預金はどこまで守られますか?(ペイオフ)
預金保険制度により、1金融機関あたり預金者1人につき元本1,000万円までとその利息が保護されます(決済用預金は全額保護)。まとまった資金は複数の金融機関に分けて預けると、より安心して高めの金利を狙えます。ラダリングと組み合わせて「銀行も期間も分散する」と、安全性と利回りのバランスを取りやすくなります。

Q. 満期が来たらどうなりますか?
多くの定期預金は「自動継続(元金継続・元利継続)」と「自動解約(普通預金へ入金)」を選べます。ラダリングでは満期のたびに金利を見直し、より条件のよい定期へ預け替えるのがポイントです。自動継続のままにしておくと預け替えのチャンスを逃すことがあるため、満期のタイミングは把握しておきましょう。

ラダリングは、耳慣れない言葉かもしれませんが、決して難しい話ではありません。より高度な資金管理の方法もありますが、まず頭の片隅に置いてほしいのは、お金をいくつかに小分けして管理することは、どんな場面でも重要になるということです。大切なご資産を、少しでも有利に・安全に活用していただければ幸いです。この記事が、皆さまのお金の管理の参考になれば幸いです。

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