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決済用預金とは|1,000万円超を全額保護で置く方法と失う利息

決済用預金とは、利息が付かず、いつでも払い戻せて、振込や引落しに使える預金のことです。この3つの条件を満たす口座は、預金保険で金額の上限なく全額が保護されます。

その代わり利息はゼロです。1,000万円を超えるお金を1つの銀行に置くなら、全額保護と引き換えに失う利息を金額で出し、置いておく期間と比べて決めるのが現実的です。

目次

全額保護の条件は、無利息・要求払い・決済サービスの3つ

預金保険機構は、決済用預金を「無利息、要求払い、決済サービスを提供できること」の3要件を満たす預金と定めています(預金保険機構「保護の範囲」)。

代表例は当座預金と、利息の付かない普通預金です。銀行によって「決済用普通預金」「普通預金(決済専用無利息型)」など名称は違いますが、条件を満たせば扱いは同じです。

金融庁と預金保険機構の解説資料も、決済用預金という新しい商品ができるわけではないと説明しています。条件をすべて満たす既存の預金が、全額保護の対象になるという整理です。

区分主な預金保護される範囲
決済用預金当座預金、無利息型の普通預金、ゆうちょ銀行の振替口座全額
一般預金等利息の付く普通預金、定期預金、貯蓄預金、定期積金など1金融機関ごとに合算して元本1,000万円までと破綻日までの利息等
対象外外貨預金、譲渡性預金など破綻した金融機関の財産の状況に応じて支払われる

出典は預金保険機構「保護の範囲」、ゆうちょ銀行の預金保険制度の案内(2026年10月時点)。

定期預金の1,000万円枠とは別に数えられる

決済用預金は、一般預金等の「元本1,000万円まで」の合算に含まれません。同じ銀行に定期預金を1,000万円持っていても、決済用預金の残高はそれとは別に全額が保護されます。

金融庁・預金保険機構の解説資料には、1つの銀行に決済用預金1,300万円、利息付きの普通預金400万円、定期預金900万円がある例が載っています(金融庁・預金保険機構「預金保険制度(ペイオフとは?)」)。

この例で保護されるのは、決済用預金の1,300万円全額と、普通預金と定期預金を合算した1,300万円のうち元本1,000万円分とその利息です。残る300万円が、破綻した銀行の財産の状況に応じた支払いになります。

つまり1つの銀行で全額保護を受けたい資金は、利息付きの口座の合計を元本1,000万円以内に収め、残りを決済用預金に置けば足ります。預金保険の基本的な仕組みは預金保険制度(ペイオフ)の保護範囲と分散の考え方で詳しく扱っています。

利息が少しでも付く普通預金は、全額保護の外にある

普通預金なら全額守られるという理解は、2005年3月までの話です。2005年4月1日以降、全額保護の特例は決済用預金を除くすべての預金で終わりました。

いまの普通預金の多くは、わずかでも利息が付く有利息型です。この場合は定期預金と同じ一般預金等に入り、合算した元本1,000万円までが保護の上限になります。

金額の大きい普通預金口座は、通帳やアプリに表示される商品名で無利息型かどうかが分かります。利息の記帳が年2回でもある口座は、決済用預金に当たりません。

1,000万円を超えた分を置くと、利息はいくら失うか

決済用預金の費用は、利息付きの預金に置いていれば受け取れた税引後の利息です。1,000万円を1年定期に預けた場合と比べた失う額を、仮定の金利で計算しました。

利息には所得税・復興特別所得税15.315%と住民税5%がそれぞれ差し引かれます(合計20.315%)。下の表は月割りの概算で、1円未満は切り捨てています。

仮定の年利(1,000万円)1か月3か月6か月1年
年0.2%1,328円3,985円7,969円15,937円
年0.5%3,320円9,961円19,922円39,843円
年1.0%6,641円19,922円39,843円79,685円

税引後の利息。実際の金利・期間・計算方法ではありません(当サイト試算・2026年10月)。

決済用預金に置いた期間に手放す利息の目安。期間に比例して大きくなります。

たとえば住宅の購入代金3,000万円を3か月だけ1つの銀行に置く場合、1,000万円を超える2,000万円を決済用預金にすると、年0.5%の定期と比べた差は約2万円(税引後19,922円)です。

同じ2,000万円を1年置き続けると、差は約8万円(税引後79,685円)に広がります。期間が長いほど、全額保護のために払う額は比例して大きくなります。

決済用預金が向くのは、数か月以内に動かすお金

失う利息が小さく、しかも全額保護の意味が大きいのは、近いうちに支払いに使う大きなお金です。分けて預けると、支払日に複数の銀行から集め直す手間と振込手数料がかかります。

  • 住宅や車の購入代金、リフォーム代など、決済日が決まっている資金
  • 相続税や事業の支払いのために一時的に集めた資金
  • 退職金を受け取ってから、預け先を決めるまでの待機資金
  • 給与や事業の入出金が多く、残高が1,000万円を超える日がある口座

反対に、半年以上使う予定のない資金を決済用預金に置くと、先ほどの表のとおり1,000万円あたり年に数万円の利息を手放し続けることになります。

長く置く資金は、分けて預けるか国債と並べて比べる

1年以上置くお金は、複数の金融機関に元本1,000万円以内ずつ分けて定期預金にすれば、全額を保護の範囲に入れたまま利息も受け取れます。預け先の選び方は銀行の安全性を自己資本比率・格付けで確かめる方法にまとめました。

国が元本と利払いを約束する個人向け国債も、比較の候補に入ります。発行後1年は原則として換金できないなど、預金と違う制約があります。詳しくは個人向け国債と定期預金の比較で扱っています。

置き方保護利息向く期間
決済用預金全額(預金保険)なし数日〜数か月
複数行に分けた定期預金各行で元本1,000万円までと利息等あり(税引後)数か月〜数年
個人向け国債預金保険の対象外(国が発行体)あり(税引後)1年以上

元利継続の定期預金は、1,000万円ちょうどでも翌年に枠を超える

分けて預けるときに見落としやすいのが、自動継続の方式です。保護されるのは元本1,000万円までと利息等なので、預けた時点では1,000万円ちょうどでも問題はありません。

ところが元利継続では、満期の利息が元本に組み込まれます。1,000万円を年0.5%(仮定)で1年預けると、税引後39,843円が加わり、継続後の元本は1,003万9,843円になります。

この39,843円分は、継続後は一般預金等の上限を超えた部分として扱われます。1つの銀行に上限いっぱいまで預けるなら、元金継続にして利息を別の口座で受け取る設定が向いています。継続方式の違いは定期預金の自動継続の注意点で解説しています。

利息の受取口座を同じ銀行の決済用預金にしておけば、その利息も全額保護の側に入ります。

無利息型への切り替えは、銀行ごとに手続きと制約が違う

決済用預金の扱いは保護の面では全国共通ですが、口座の切り替え方は銀行ごとに違います。2026年10月時点の各行の案内を見ると、次の点に差がありました。

  • 口座番号がそのままか。三井住友銀行は口座番号を変えずに切り替えられると案内しています
  • 利息付きの普通預金に戻せるか。三井住友銀行は原則として戻せないとしています
  • 窓口だけか、インターネットバンキングでも手続きできるか。窓口での切り替えに収入印紙代がかかる例もあります
  • 総合口座の場合、担保になっている定期預金は一般預金等のままで、全額保護の対象にはなりません

三菱UFJ銀行は「普通預金(決済専用無利息型)」などを決済用預金として案内し、ゆうちょ銀行は振替口座を決済用預金に分類しています。取り扱いの有無や名称は銀行ごとに異なります。

戻せない銀行で給与口座を切り替えると、資金を移したあとも利息ゼロの口座が残ります。一時的な置き場所として使うなら、別の口座を決済用にできるかを先に聞いておくと手間が減ります。

決済用預金で迷いやすい点

Q. ネット銀行にも決済用預金はありますか?

A. 3要件を満たす口座を扱っていれば、ネット銀行でも全額保護の対象です。ただし取り扱いのない銀行もあり、有無は各行の商品一覧や預金保険の案内ページで分かります。

Q. 外貨の普通預金を無利息にすれば全額保護されますか?

A. 保護されません。外貨預金は利息の有無にかかわらず預金保険の対象外で、銀行が破綻した場合は財産の状況に応じた支払いになります。

Q. 決済用預金の残高が多いと、定期預金の1,000万円枠が減りますか?

A. 減りません。1,000万円の合算に入るのは利息の付く預金だけです。決済用預金がいくらあっても、同じ銀行の定期預金などは別に元本1,000万円までと利息等が保護されます。

Q. 振込の途中で銀行が破綻したら、そのお金はどうなりますか?

A. 振込や引落しなどの決済のために銀行が負う円建ての債務は、決済債務として全額保護されます。一般預金等のうち決済に充てられるものも、決済用預金とみなされます。

決済用預金は、全額保護を利息で買う置き場所

決済用預金は、利息を受け取らない代わりに金額の上限なく保護される預金です。1,000万円の枠とは別に数えられるので、短期間だけ大きなお金を1つの銀行に置く場面で役に立ちます。

半年以上置くなら、1,000万円あたり年数万円になりうる利息の差と、分けて預ける手間を比べて決めます。金利・キャンペーン条件は記載時点のものです。預け入れ前に各行の最新の金利表でご確認ください。

参考・出典

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