取引している銀行がほかの銀行と合併しても、預けている定期預金は合併後の銀行に引き継がれ、解約や預け直しの手続きは要りません。変わるのは預金保険で守られる金額の上限です。
合併から1年間は元本1,000万円×合併した銀行の数まで保護され、1年を過ぎると1行分の1,000万円に戻ります。両方の銀行に預けていた人は、この時点で預金が合算されます。
口座番号や通帳の扱いは合併ごとに違います。2026年10月23日に3件の合併と1件の商号変更の公式案内を確認したところ、口座番号がすべて変わった例は1件でした。
合併から1年間は、保護の上限が合併した銀行の数だけ増える
預金保険機構の案内では、金融機関が合併した場合や事業のすべてを譲り受けた場合、その後1年間に限って保護の範囲を広げる特例があります。
上限は預金者1人あたり元本1,000万円×合併等に関わった金融機関の数と、破綻日までの利息です。2行の合併なら、1年間は元本2,000万円までが保護されます。
2026年1月1日に発足した八十二長野銀行の案内では、特例の期間は2026年12月31日までです。2027年1月1日からは、元本1,000万円と破綻日までの利息に戻ります。
2025年1月1日に合併した青森みちのく銀行の特例は、2025年12月31日で終わっています。合併から1年を過ぎた銀行は、すでに1行分の枠で数えられています。
1つの銀行の中で預金を名寄せして数える基本の仕組みは、預金保険制度(ペイオフ)の解説で説明しています。
1年を過ぎると、2つの銀行の預金が1人分として合算される
特例が終わると、旧A銀行と旧B銀行に分けて預けていた預金は、1つの銀行の預金として名寄せされます。元本1,000万円を超えた部分は、保護の対象から外れます。
預金保険機構は、元本1,000万円を超える部分について、破綻した金融機関の財産の状況に応じて支払われるため一部カットされることがある、としています。
2行に分けて預けている3つの例で、特例の期間中と終了後を比べると次のようになります。
| 例 | 旧A銀行の元本 | 旧B銀行の元本 | 特例の期間中(上限2,000万円) | 特例の終了後(上限1,000万円) |
|---|---|---|---|---|
| 例A | 700万円 | 600万円 | 全額が保護の対象 | 300万円が上限を超える |
| 例B | 500万円 | 400万円 | 全額が保護の対象 | 全額が保護の対象(合計900万円) |
| 例C | 900万円 | 900万円 | 全額が保護の対象 | 800万円が上限を超える |
※当編集部試算。2行の合併、元本だけで比べています。破綻日までの利息は別に保護されるものとし、決済用預金は含めていません。
例Bのように合計が1,000万円を下回っていても、元利継続の定期預金は満期のたびに元本が増えます。特例が終わる前に、次の満期後の元本で合計を出し直すと、超える時期を前もって知ることができます。
上限を超える分は、特例の終了日までにほかの銀行へ移すか、無利息の決済用預金に切り替えれば保護の内側に収まります。定期預金を満期前に移すと中途解約利率になるため、満期日と終了日のどちらが先かを確かめてから動かしてください。
同じグループの銀行でも、合併するまでは別々に数える
持株会社の傘下に入った、ほかの銀行の子会社になった、という段階では、銀行は別々の会社のままです。預金保険の枠も、銀行ごとに元本1,000万円ずつ数えます。
オリックス銀行は2026年8月3日に大和ネクスト銀行の完全子会社になりましたが、2行は現在も別の銀行で、保護の枠も別々です。2行が将来合併すれば、合併日から1年間の特例を経て合算されます。
合算が始まる起点は合併の日で、経営統合を発表した日や株式を譲り受けた日は関係しません。合併の予定日は、各行が公表する合併のお知らせに書かれています。
行名だけが変わる商号変更では、保護の枠も口座番号もそのまま
銀行の名前が変わっても、合併を伴わない商号変更なら銀行は1つのままです。保護の上限は元本1,000万円のままで、合併の特例も関係しません。
ドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)は、2026年8月3日に商号を変更しました。公式のよくある質問では、金融機関コード・支店番号・口座番号に変更はないとしています。
給与や年金を振り込んでもらっている人は、振込元に新しい銀行名を伝える必要があります。同行の案内では、旧銀行名での振込は2026年10月30日まで受け付けるとしています。
口座番号が変わるかどうかは、合併ごとに違う
2026年10月23日に、3件の合併と1件の商号変更について、各行の公式の案内を同じ項目で確認しました。名前が消える側の銀行の預金者向けの扱いは、下の表のとおりです。
| 銀行(旧行名) | 出来事と日付 | 金融機関コード | 店番・口座番号 | 通帳・証書 | 旧行名・旧番号での振込 |
|---|---|---|---|---|---|
| 青森みちのく銀行(旧みちのく銀行) | 合併・2025年1月1日 | 0118から0117へ | 口座番号の変更なし | 旧通帳は合併日以降使えず切り替え(期限なし) | 期限の記載なし |
| あいち銀行(旧中京銀行) | 合併・2025年1月1日 | 0542(旧愛知銀行のコード)にそろう | 支店名・支店番号・口座番号とも変更なし | 旧通帳は切り替え(期限なし) | 2025年4月4日まで新銀行名に読み替えて入金 |
| 八十二長野銀行(旧長野銀行) | 合併・2026年1月1日 | 0533から0143へ | すべての口座で店番・口座番号が変わる | 通帳・証書とも使えず切り替え(期限なし) | 他行から旧番号あての振込は2026年4月4日以降受け取れない |
| ドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行) | 商号変更・2026年8月3日 | 変更なし | 支店番号・口座番号とも変更なし | 確認の対象外 | 旧銀行名は2026年10月30日まで受付 |
※当編集部調べ(各行の公式の案内ページ・2026年10月23日確認)。旧みちのく銀行と旧青森銀行で重なっていた店名・店番は、2023年6月までに変更済みと案内されています。
3件の合併のうち、口座番号がすべて変わったのは旧長野銀行の1件でした。旧みちのく銀行と旧中京銀行では、銀行名と金融機関コードの変更が中心です。
存続する側の旧八十二銀行は、店番・口座番号が変わらず、通帳も切り替えずに使えるとしています。旧愛知銀行も支店番号・口座番号は変わりません。同じ合併でも、どちらの銀行の預金者かで手続きの量が違います。
定期預金の通帳と証書は、旧行の分だけ切り替える
旧長野銀行の通帳と証書は、合併日以降は使えません。2026年1月5日以降に八十二長野銀行の窓口で新しい通帳へ切り替える必要があり、ATMでは手続きできないと案内されています。
定期預金は証書の扱いがなくなり、すべて定期預金通帳へ切り替わります。定期預金や定期積金の新しい口座番号は、2026年1月下旬の「統合完了のお知らせ」で知らせる方法でした。
取扱いの決まりも、合併後の銀行に合わせて変わります。旧長野銀行の案内では、2026年1月1日以降は異なる利払方法を組み合わせられず、3年以上のスーパー定期(個人)の利息計算は複利だけになりました。
この案内には、預け入れ済みの定期預金の約定金利や満期日が変わるという記載はありませんでした。満期後の継続で扱いが気になる場合は、合併後の取引店で継続後の利率と満期の受け取り方を聞いておくと、満期日に慌てずに済みます。
合併が決まったら、特例の終了日までに見直すこと
合併の案内が届いたら、預け先が1つになる日と、保護の枠が1つに戻る日を分けて考えてください。見直す項目は次のとおりです。
- 旧2行に預けている元本の合計。元利継続の定期は、次の満期で増える利息も足して1,000万円と比べる。
- 特例の終了日。合併日から1年後の日付が、合併後の銀行の案内に載っている。
- 給与・年金の受け取りや口座振替に登録している口座番号。番号が変わる合併では、旧番号あての振込を受け取れなくなる日がある。
- 長く使っていない口座。10年以上取引のない預金は、休眠預金として扱われることがある。
動かしていない口座の扱いは、休眠預金等活用法と引き出し方の記事にあります。上限を超えた定期預金が破綻時にどうなるかは、銀行が破綻したときの定期預金の利息の記事で紹介しています。
合併を経験した人の体験談
当編集部が確認したところ、次のような体験談がありました。
- 地元にあった3つの銀行が2度の合併で1つになった。それぞれの銀行に口座を作っていたため、いまは同じ銀行に口座が3つあり、通帳とカードも3組持っている。
- 親があまり使っていなかった銀行には、合併前の古い通帳しか残っていなかった。窓口のふだんの手続きでは調べきれず、専門の部署に調べてもらうことになった。
- 取引している銀行から合併のお知らせが届き、いま使っている通帳は合併後もそのまま使えると書かれていた。
いずれも個人の体験で、扱いは銀行や合併の時期によって異なります。1つ目のように同じ銀行に口座がいくつあっても、預金保険では1人分として合算されます。
保護の特例期間と口座番号の扱いは、記載時点の各行の案内によるものです。合併が決まった銀行に預けている場合は、届いた案内と取引店の最新の情報でご確認ください。