X
    Categories: コラム

定期預金の中途解約利率を主要3行で比較|計算ルールと解約手順

定期預金を満期前に解約しても、預けた元本は全額戻ります。減るのは利息で、当初の約定利率に代えて中途解約利率(期限前解約利率)が適用されます。預入から6か月未満なら普通預金並みの利率、6か月を過ぎると約定利率などに各行所定の割合(50〜90%など)を掛けた利率です。

三菱UFJ銀行・ゆうちょ銀行・SBI新生銀行の規定と商品説明書を2026年10月16日に読み比べると、割合の掛け方は2通りあります。下限に使う普通預金の利率が解約日時点か預入日時点かでも、受取額が変わります。

定期預金は満期前でも解約できる

定期預金は、最初に預入期間を決めて預ける預金です。一定期間は引き出さない条件と引き換えに、普通預金より高い金利が付きます。

規定には「当行がやむを得ないと認める場合を除き、満期日前に解約することはできません」と書かれているのが一般的です。実務上は、事情があれば満期日より前に解約できます。

呼び方は金融機関で異なり、中途解約、期限前解約と呼ぶのが一般的です。ゆうちょ銀行は預入期間内払戻という言葉を使っています。

中途解約で減るのは利息だけで、元本は全額戻る

中途解約には、受け取れる利息が下がるというペナルティがあります。外貨預金や仕組預金と違い、通常の円定期預金で元本が減ることはありません。

下がったあとの利率は、商品説明書や預金規定に中途解約利率、期限前解約利率、預入期間内払戻利率などの名前で載っています。預け入れの時点で決まっている数字なので、申し込む前に読んでおけます。

中途解約利率の計算方法は2通りある

計算方法は金融機関・商品ごとに違いますが、公表されている規定を読み比べると、次の2つに分かれます。

  • 短い期間の利率に割合を掛ける方式
    1年ものを8か月で解約したら、預入日時点の6か月ものの利率×所定の割合を使います。三菱UFJ銀行のスーパー定期(70%)、ゆうちょ銀行の定期貯金(60%)がこの方式です。
  • 約定利率に経過期間ごとの割合を掛ける方式
    預けた期間が長いほど割合が上がる段階方式で、SBI新生銀行のパワーダイレクト円定期預金が当てはまります。

どちらの方式でも、6か月未満で解約すると普通預金並みの利率まで下がります。下限に使う普通預金の利率が解約日時点か預入日時点かは、金融機関によって違います。普通預金の金利が改定される時期には、この違いが受取額の差になります。

主要3行の中途解約利率ルール(各行の規定・商品説明書より)

金融機関・商品6か月未満で解約した場合6か月以上経過した場合下限
三菱UFJ銀行
スーパー定期
解約日における普通預金の利率預入日における店頭表示の経過期間に対応する期間の利率×70%解約日の普通預金利率を下回らない
ゆうちょ銀行
定期貯金
預入日時点の通常貯金の利率預入日時点の経過期間に対応する期間の約定利率×60%預入日時点の通常貯金の利率を下回らない
SBI新生銀行
パワーダイレクト円定期預金
解約日における普通預金の利率(100万円未満の階層)約定利率×30〜90%(預入期間と経過期間に応じて段階的に上昇)規定上の下限の定めなし(約定利率に割合を掛ける方式)

出典は、三菱UFJ銀行の自由金利型定期預金(M型)(スーパー定期)規定(2022年9月12日現在版)、ゆうちょ銀行の定期貯金 商品概要説明書(2026年5月18日現在)、SBI新生銀行のパワーダイレクト円定期預金 商品説明書(2026年3月25日現在)です。いずれも2026年10月16日に各行の公式サイトで内容を確認しました。

短い期間の利率に割合を掛ける方式では、割合を掛けた利率が下限を下回ることがあります。2026年10月16日現在の三菱UFJ銀行の金利(スーパー定期6か月 年0.500%、普通預金 年0.400%)を当てはめると、1年ものを8か月で解約した場合の計算は年0.500%×70%=年0.350%です。下限の普通預金利率を下回るため、年0.400%が適用されます。

ゆうちょ銀行も、2026年10月13日現在の金利(定期貯金6か月 年0.500%、通常貯金 年0.400%)なら、年0.500%×60%=年0.300%は下限を下回り、通常貯金の利率になります。短期の定期と普通預金の金利差が小さい時期は、6か月を過ぎても普通預金並みの利率になることがあります。

端数の扱いも規定にあります。三菱UFJ銀行は割合を掛けた利率の小数点第4位以下を切り捨てます。ゆうちょ銀行は小数点第3位以下を切り捨て、その結果が0%になる場合だけ第4位以下を切り捨てます。

SBI新生銀行のような段階方式では、預けた期間が長いほど受取利息が増える関係が数字で示されています。5年ものの割合の上がり方は下の図のとおりです。

横軸は預入からの経過期間。預けている期間が長いほど、受け取れる利息の割合が上がります(預入期間6か月未満は解約日の普通預金利率)。

預入期間別の割合は次のとおりです(同行の商品説明書、2026年3月25日現在)。

経過期間1か月〜2年もの3年もの4年もの5年もの
6か月未満普通預金利率普通預金利率普通預金利率普通預金利率
6か月以上1年未満50%40%40%30%
1年以上1年6か月未満70%50%50%40%
1年6か月以上2年未満70%60%60%50%
2年以上2年6か月未満—70%70%60%
2年6か月以上3年未満—90%80%70%
3年以上4年未満——90%80%
4年以上5年未満———90%

100万円・1年ものを途中で解約したときの利息の減り方

金額を当てはめて計算します。例はSBI新生銀行のパワーダイレクト円定期預金30(1年もの・年1.250%・税引前・30万円以上)に100万円を預けた場合です。金利は2026年10月16日に同行の円預金金利一覧で確認した値で、中途解約利率は預入期間1か月〜2年の区分を使いました。

解約のタイミング適用される利率受取利息(税引前/税引後の目安)
満期(1年)まで預けた約定利率 年1.250%12,500円/約9,960円
約6か月(183日)で解約約定利率×50%=年0.625%約3,133円/約2,496円
約3か月(92日)で解約解約日の普通預金利率 年0.500%約1,260円/約1,004円

※税引後は20.315%(国税15.315%・地方税5%)を差し引いた概算です。1年を365日とする日割計算で、円未満は切り捨てました。年0.500%は、同行の規定が下限に指定する円普通預金(100万円未満の階層)の2026年10月16日時点の利率です。

元本100万円は全額戻りますが、受取利息は満期まで預けた場合の約4分の1から約10分の1に減ります。6か月を過ぎたかどうかで利率の扱いが大きく変わるため、あと数週間で6か月に届くなら、それを待って解約すると受取利息が2倍以上になります。

中途解約を考えるときに商品説明書で見る項目を表にしました。

項目見るところ備考
中途解約利率の決まり方約定利率に割合を掛けるか、短い期間の利率に割合を掛けるか商品説明書・預金規定に記載
下限となる普通預金利率解約日時点か、預入日時点か普通預金の金利改定時に差が出る
経過期間による違い経過期間が長いほど割合が上がるか6か月・1年などの区切りで段階的に変わる
元本の扱い元本は全額戻る(目減りしない)外貨預金・仕組預金とは異なる
解約方法ネットで完結するか、窓口のみか窓口は持ち物の準備が必要

キャンペーン金利の定期預金は中途解約の条件を先に読む

中途解約利率の条件は、同じ定期預金でも金融機関や商品ごとに違います。金利が高い定期預金ほど、中途解約時の条件は厳しめに設計されている傾向があります。

キャンペーンの特別金利は、期間中預け続けることを前提に上乗せされています。途中で解約すると上乗せ分は適用されず、通常より低い利率になることが多い点に注意が必要です。

上乗せ後の金利だけを見て預けると、途中で引き出したときの目減りが想像より大きくなります。適用条件の読み方は定期預金キャンペーン金利の比較一覧で銀行ごとに整理しています。

政策金利1.25%への引き上げ後、預け替えのために解約するか

日本銀行は2026年9月18日の金融政策決定会合で、政策金利を1.25%程度へ引き上げました(9月24日から適用・日本銀行「金融市場調節方針に関する公表文」)。これを受け、三菱UFJ銀行は円普通預金を11月2日から年0.50%へ、ゆうちょ銀行は通常貯金を11月9日から年0.500%へ引き上げると発表しています。

金利が上がっても、預け入れ済みの定期預金の利率は満期まで変わりません。三菱UFJ銀行のスーパー定期も、利息は約定利率で計算すると規定しています。新しい金利が使えるのは、改定後に預け入れた分からです。

預け替えの損得は、預け替えで増える利息と中途解約で減る利息の差し引きで決まります。残りの期間が短いほど、中途解約で失う利息のほうが大きくなりがちです。満期が近いなら、満期を待ってから預け替えるほうが有利な場合が多くなります。

普通預金の利率が下限になる商品では、普通預金の改定日をまたぐかどうかでも計算が変わります。解約日時点の普通預金利率を使う三菱UFJ銀行やSBI新生銀行と、預入日時点を使うゆうちょ銀行とでは、同じ時期に解約しても下限の利率が一致しません。

途中で使うかもしれないお金の置き場所

途中で引き出す可能性があるお金は、定期預金以外の置き場所も並べて考えます。

  • 普通預金 いつでも出し入れできます。三菱UFJ銀行の普通預金は年0.400%(2026年10月16日現在・11月2日から年0.50%)、ゆうちょ銀行の通常貯金も年0.400%(2026年10月13日現在・11月9日から年0.500%)です。
  • 定期預金 普通預金より高い利率で預けられますが、途中で解約すると利率が下がります。1か月・3か月の短い預入期間を選び、満期ごとに預け直す使い方もあります。
  • 個人向け国債 元本保証で年0.05%の最低金利保証がありますが、発行から1年間は原則として中途換金できません。1年経過後の換金でも、直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれます。保有者本人が亡くなった場合や、災害救助法の適用対象となった大規模な自然災害で被害を受けた場合は、1年以内でも換金できます(財務省「個人向け国債 商品概要」)。定期預金との比べ方は個人向け国債と定期預金の利率と中途換金の比較にまとめました。

利率と、途中で引き出したときの扱いを同じ表に並べて比べると、預け先の違いが分かります。各行の現在の定期預金金利はauじぶん銀行の定期預金金利などの個別ページにまとめています。

定期預金の解約はネットと窓口で手順が違う

インターネットで預け入れた定期預金は、インターネットバンキングやアプリの画面から解約できることが多くなっています。商品や預け入れ方法によっては、窓口でしか解約できない場合もあります。

窓口で解約する場合は、営業時間内に通帳(または貯金証書)、届出印、本人確認書類を持って来店します。必要なものは金融機関によって異なります。

ネットでの解約に制限がある商品もあります。SBI新生銀行のパワーダイレクト円定期預金は、インターネットバンキングによる預入日当日の解約はできないと商品説明書に定めています。

中途解約利率の割合を預入期間・経過期間ごとに一覧で公表している商品なら、預け入れ前に途中解約時の受取額を計算できます。SBI新生銀行のパワーダイレクト円定期預金もその一つです。

よくある質問

Q. 定期預金を中途解約すると元本は減りますか?

A. 通常の円定期預金なら、中途解約しても元本は全額戻ります。減るのは利息(適用利率)だけです。仕組預金のように中途解約できない、または元本割れする商品もあるため、商品の種類を見てから預けます。

Q. 約定利率に掛ける割合は、どこに書いてありますか?

A. 商品説明書(商品概要説明書)の中途解約時の取扱いの欄か、預金規定の利息の項目に載っています。多くの金融機関が公式サイトでPDFを公開しています。

Q. 預入から6か月未満で解約するとどうなりますか?

A. 三菱UFJ銀行とSBI新生銀行は解約日の普通預金利率、ゆうちょ銀行は預入日時点の通常貯金の利率です。いずれも普通預金並みまで下がるため、数か月以内に使う予定のお金は普通預金か短期の定期預金に置くほうが無難です。

Q. 定期預金を一部だけ解約できますか?

A. 三菱UFJ銀行のスーパー定期(個人)は、預入期間1年超のものについて、預入日の1年後の応当日以後なら1万円以上の単位で一部解約できます。単利で元金が300万円を超える場合は、300万円を超える部分が対象です。解約した部分には期限前解約利率が適用されます。

Q. 預金金利が上がったので、今の定期を解約して預け替えたほうがよいですか?

A. 預け替えで増える利息と、中途解約で減る利息を差し引きで比べて決めます。預けている定期の利率は満期まで変わらず、満期後に預け替えれば新しい金利を使えます。満期が近い場合は、待ってから預け替えるほうが有利なことが多くなります。

Q. 満期日を過ぎても解約しなかった定期預金の利息はどうなりますか?

A. 自動継続にしていない場合、満期日以後の期間は普通預金の利率で利息が付くのが一般的です。三菱UFJ銀行のスーパー定期は、満期日から解約日の前日までを解約日の普通預金利率で計算すると規定しています。

Q. 定期預金は預金保険(ペイオフ)の対象ですか?

A. 円定期預金は対象です。金融機関が破たんしても、1金融機関ごとに預金者1人あたり元本1,000万円までと破たん日までの利息等が保護されます(預金保険機構「保護の範囲」)。

定期預金の中途解約は、元本を失う手続きとは違い、約束した期間を守れなかった分の利息をあきらめる手続きです。金融機関ごとに計算方法が違い、預入から6か月の区切りで利率の扱いが大きく変わります。計算の考え方は中途解約利率の決まり方と計算例の記事でも解説しています。

金利・キャンペーン条件は記載時点のものです。預け入れ前に各行の最新の金利表でご確認ください。

webmaster: