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60歳以上の優遇定期預金は年金受取が条件|上乗せ幅と注意点

60歳以上やシニア向けをうたう定期預金の上乗せ金利は、多くの場合、年齢よりその銀行で公的年金を受け取っていることを条件にしています。

2026年10月時点で地方銀行3行の商品を確認すると、上乗せはスーパー定期1年ものの店頭表示金利に対して年0.1〜0.3%相当でした。

300万円を1年預けた場合の税引後の差は、年2,391〜7,172円です。手続きは窓口に限られ、年金の受取口座を他行へ移すと優遇が外れる設計も見られます。

以下、条件の読み方と、受取口座を動かす価値があるかの測り方を順に整理します。

目次

60歳を迎えただけでは対象外。条件の中心は年金の受取口座

今回確認した京都銀行・伊予銀行・北陸銀行の年金向け定期預金は、いずれも公的年金の受取人に年齢の下限を設けていません。対象者は、その銀行で国民年金・厚生年金・共済年金を受け取っている人です。

裏返すと、60歳でも年金をまだ受け取っていない人は原則として対象外になります。日本年金機構によれば、老齢基礎年金・老齢厚生年金の受給開始は原則65歳です(日本年金機構「年金の繰上げ受給」)。

一方で、受け取り開始前の人を対象に含める銀行もあります。京都銀行は6か月以内に公的年金の受け取りを始める予定の人を、北陸銀行は同行で新たに年金の自動受け取りを始める人を、それぞれ対象に入れています。

年齢ではない条件なので、60歳未満でも対象になる場合があります。伊予銀行の対象年金には遺族年金・障害年金が含まれ、京都銀行は児童扶養手当など所定の手当の受取人も対象です。

逆に企業年金は外れます。伊予銀行と北陸銀行は企業年金を対象外と明記し、京都銀行も国民年金基金・厚生年金基金・企業年金連合会の年金を除いています。

年齢そのものを条件にする優遇もありますが、数は限られます。たとえば運転免許を自主返納した人向けの上乗せは、原則65歳以上が対象です(詳しくは運転免許の自主返納で優遇される定期預金の上乗せ金利と条件)。

上乗せ金利のために年金を繰り上げると、損失は一生続く

年金は希望すれば60歳から繰り上げて受け取れますが、減額率は昭和37年4月2日以降生まれで1か月0.4%、60歳請求なら24.0%です。日本年金機構は、この減額が生涯変わらないと説明しています。

一方、京都銀行の上乗せ年0.20%を上限の1,000万円いっぱいに当てても、増える利息は税引後で年15,937円です。

定期預金の優遇を受けるために繰上げ受給を選ぶ理由にはなりません。繰上げは年金そのものの判断として考える事柄です。

3行の年金定期を同じ項目で並べる(2026年10月時点)

上乗せの付け方は、店頭表示金利に一定幅を足す型と、特別金利を固定で示す型に分かれます。3行とも同じ日の店頭表示金利(スーパー定期1年もの年0.500%)で比べると、差は次のとおりです。

項目京都銀行
京銀年金定期
伊予銀行
しあわせ賛歌[2]
北陸銀行
年金定期預金
金利の決め方スーパー定期1年ものの店頭表示金利+年0.20%スーパー定期1年ものの店頭表示利率+年0.1%特別金利を固定で表示
1年ものの適用金利(税引前)年0.700%年0.600%年0.800%
同行の店頭表示金利(1年・税引前)年0.500%年0.500%年0.500%
預入額1人1,000万円まで10万円以上1,000万円以内(しあわせ賛歌[1]と合算)上限なし
申込方法窓口のみ(ATM・ダイレクトバンキング・ネットダイレクト支店は対象外)年金受取口座のある営業店(インターネット支店等を除く)店頭のみ(インターネットバンキング不可)
満期時の扱い満期前に年金受取をシステム判定し、対象なら上乗せで自動継続利払式の自動継続のみ自動継続時は本商品の金利。年金受取を確認できなければ自動解約
取扱期限など2026年12月30日預入分まで(延長の場合あり)記載なし記載なし(変更・中止の場合あり)

※各行の公表内容と2026年10月5日現在の店頭表示金利をもとに当サイトで整理(2026年10月7日確認)。

上乗せ型の京都銀行は+年0.20%、伊予銀行は+年0.1%、固定型の北陸銀行は年0.80%(店頭表示比+年0.30%)。

上乗せ型は、店頭表示金利が改定されれば適用金利も同じ幅で動きます。固定型は表示された金利がそのまま適用され、改定は銀行の判断です。どちらも預け入れた時点の金利が満期まで続き、継続のたびに決め直される点は共通しています。

年金の受取口座を動かすと、優遇が外れる仕組みがある

年金定期の条件は、預け入れた日だけで判定されるとは限りません。預けている間も、その銀行で年金を受け取り続けることが前提になっています。

  • 伊予銀行は、年金を1口でも他行に変更した場合、預入時にさかのぼって通常の1年もの店頭表示利率を適用すると定めています。
  • 京都銀行は、満期日の前月か前々月に年金の受取状況をシステムで判定します。対象外と判定されると、継続後は通常の店頭表示金利です。
  • 北陸銀行は、満期日時点で年金の受け取りを確認できない場合、自動継続せずに自動解約の扱いとします。

年金の振込先は年金ごとに1つの口座に決まるため、年金定期を使える銀行は多くの人で1行に絞られます。給与や年金の受け取りが銀行にどう判定されるかは、定期預金キャンペーンの適用条件チェックリストでも扱っています。

受取口座を変えるには、年金事務所などへ年金受給権者受取機関変更届を出します。

日本年金機構は、次の支払日の1か月以上前までに手続きし、新しい口座への入金を確認するまで旧口座を残すよう案内しています(日本年金機構「年金の受取機関や住所を変更するとき」)。

満期後の継続で金利が変わる仕組みは、キャンペーン定期と同じ注意が必要です。継続後の金利の確かめ方は定期預金の自動継続の注意点にまとめています。

判断材料は、上乗せの手取り額と同じ銀行のほかの1年もの

上乗せ幅だけを見ると、年0.1%と年0.3%の違いは小さく感じます。300万円を1年預けた場合の税引後利息に直すと、差ははっきりします(1年365日・税率20.315%・1円未満切り捨てで試算)。

銀行比べる商品(1年・税引前)税引後利息年金定期との差
京都銀行京銀年金定期 年0.700%16,734円ー
スーパー定期 年0.500%11,953円年金定期が4,781円多い
伊予銀行しあわせ賛歌[2] 年0.600%14,344円ー
AGENTアプリ専用定期預金 年0.550%13,149円年金定期が1,195円多い
スーパー定期 年0.500%11,953円年金定期が2,391円多い
北陸銀行年金定期預金 年0.800%19,125円ー
ほくぎん特別金利定期預金(給与・年金コース) 年0.90%21,515円特別金利定期が2,390円多い
スーパー定期 年0.500%11,953円年金定期が7,172円多い

※金利は2026年10月5日現在の各行公表値。伊予銀行のAGENTアプリ専用定期預金はアプリからの預け入れ専用です。

伊予銀行では、アプリ専用定期との差が年0.05%しかありません。窓口に出向く手間を考えると、年金定期にこだわる理由は小さくなります。

北陸銀行では、年金を受け取っている人向けの特別金利定期のほうが年0.10%高い水準です。ただしこちらは他行からの振込や現金などで新たに入れた資金が対象で、自動継続すると次の期間は店頭表示金利に戻ります。

この北陸銀行の例は、選び方の分かれ目をよく示しています。新しい資金を1年だけ置くなら特別金利定期、年金を受け取りながら毎年続けるなら継続後も同じ商品金利が付く年金定期、という整理です。

年金の受取口座を別の銀行へ移すかどうかは、上乗せの税引後額を預入額で掛け直して決めます。

300万円なら年2,391〜7,172円、1,000万円でも京都銀行の上乗せ分は年15,937円です。通い慣れた店舗やATMの近さと比べて、手間に見合うかを判断してください。

なお、北陸銀行の年金定期は預入額に上限がありません。ただ、預金保険で保護されるのは1金融機関ごとに預金者1人あたり元本1,000万円までと破綻日までの利息等です(預金保険機構「預金保険制度の概要」)。同じ銀行の普通預金なども合算されます。

年金受取で上乗せされる定期の疑問

Q. 夫婦がそれぞれ年金を受け取っていれば、2人とも年金定期を使えますか?

A. 夫婦それぞれが自分の年金をその銀行で受け取っていれば、各自が対象になります。京都銀行・伊予銀行の上限はお一人さまあたりの金額なので、名義ごとに上限まで預けられます。

Q. 企業年金や個人年金保険の受け取り口座でも対象になりますか?

A. 3行の案内で対象としているのは公的年金です(京都銀行は所定の手当も含む)。企業年金は伊予銀行・北陸銀行が対象外と明記し、京都銀行も企業年金連合会などの年金を除いています。

Q. ネットバンキングやATMから預けても上乗せされますか?

A. 今回の3行はいずれも窓口での手続きに限られます。京都銀行はATM・ダイレクトバンキング・ネットダイレクト支店での預け入れを対象外とし、北陸銀行もインターネットバンキングでは扱っていません。

Q. 年金定期を預けたまま、年金の受取先を別の銀行に変えるとどうなりますか?

A. 銀行で扱いが違います。伊予銀行は預入時にさかのぼって通常金利になり、京都銀行と北陸銀行は満期時の判定で上乗せの継続や自動継続ができなくなります。変更前に商品概要説明書で確かめてください。

シニア優遇は年齢の特典より、年金口座を預ける対価に近い

シニア向けの優遇定期は、60歳という年齢に付く特典としてより、年金の受取口座をその銀行に置く見返りとして設計されています。上乗せは年0.1〜0.3%程度で、窓口限定・上限額・受取口座の継続という条件が付きます。

選ぶときは、上乗せの税引後額を自分の預入額で計算し、同じ銀行のアプリ専用定期や新規資金向けの特別金利と並べてください。

年金の振込先は年金ごとに1口座なので、どの銀行の年金定期を使うかは受取口座の選択とほぼ同じ意味を持ちます。

金利・キャンペーン条件は記載時点のものです。預け入れ前に各行の最新の金利表でご確認ください。

参考・出典:日本年金機構「年金の繰上げ受給」/日本年金機構「年金を受けている方が年金の受取機関や住所を変更するとき」/預金保険機構「預金保険制度の概要」(いずれも2026年10月7日確認)

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