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外貨定期の高金利を円で比べる|往復の為替手数料と損益ゼロの相場

米ドル定期の年6.00%(6か月もの・税引前)に100万円を預けても、円で受け取る手取りの増加は、1ドル150円のまま為替が動かなかったと仮定して約2万1,900円です。年率に直すと約4.37%で、6万円には届きません。

差が出る理由は、6か月分しか利息が付かないこと、利息に20.315%の税金がかかること、円と米ドルの両替に往復で手数料がかかることの3つです。そのうえで、満期時に1ドル146.8円前後まで円高が進むと元本を割り込みます。

目次

外貨定期の年率は、期間と税金と往復の両替で3回削られる

外貨定期の金利も円定期と同じ年率表示です。6か月ものの年6.00%なら、実際に付く利息は元本の約3%(6か月を0.5年とした概算)にとどまります。

年率と預入期間の関係は、円定期のキャンペーンでも同じ構造です。3か月ものの年0.5%表示が受取利息では1年ものの4分の1になる仕組みは、定期預金キャンペーンの年率表示と受取利息の関係で計算しています。

外貨定期には、円定期にない差し引きがもう1つあります。円を外貨に替えるときはTTS(仲値に手数料を足したレート)、円に戻すときはTTB(仲値から手数料を引いたレート)が使われます。

手数料は預けるときと戻すときの両方にかかります。片道15銭なら往復30銭で、1ドル150円のとき元本の0.2%です。片道1円なら往復2円で、元本の約1.33%が最初から目減りします。

2026年10月時点の例で、100万円が円でいくらになるかを追う

ソニー銀行は2026年9月1日から11月30日まで、円普通預金から預け入れる米ドル定期(期間指定6か月)に年6.00%(税引後年4.781%)の特別金利を設けています(2026年10月時点・公式サイトにて確認)。

同行の米ドルの為替コストは、優遇のない基準で片道15銭です。この条件で、1ドル150円の日に100万円を預け、満期の日も150円だったと仮定して計算すると、次のように減っていきます。

計算の段階金額・数値
円を米ドルに替える(TTS 150.15円)約6,660.01ドル
6か月分の利息(税引前・年6.00%×0.5年)約199.80ドル
6か月分の利息(税引後・年4.781%×0.5年)約159.20ドル
満期の元利合計(税引後)約6,819.21ドル
円に戻す(TTB 149.85円)約1,021,859円
手取りの増加約21,859円(年率換算 約4.37%)

※1ドル150円は計算のための仮定で、実際の相場ではありません。6か月を0.5年として概算しています。

為替が動かなくても、期間・税金・往復の為替手数料で手取りは表示金利の印象より大きく減ります(仮定の計算)。

表示の年6.00%を1年分と読むと6万円ですが、期間で半分、税金でさらに約2割が引かれます。往復の両替で約2,000円が差し引かれ、残るのは約2万1,900円です。

片道15銭と片道1円では、為替が動かなくても手取りが倍近く違う

為替手数料は銀行と取引の経路で大きく変わります。三菱UFJ銀行の米ドルの通常の為替手数料は、インターネットバンキングで片道25銭、窓口で片道1円です(2026年10月時点・公式サイトにて確認)。

上の例と同じ年6.00%・6か月・100万円で、手数料だけを変えて計算しました。金利が同じでも、片道1円なら手取りの増加は約1万343円まで下がり、年率換算で約2.07%です。

米ドルの片道手数料往復のコスト(元本比)手取りの増加(為替変動なし)年率換算
15銭約0.20%約21,859円約4.37%
25銭約0.33%約20,498円約4.10%
1円約1.33%約10,343円約2.07%

※年6.00%(税引後年4.781%)・6か月・100万円・1ドル150円が満期まで変わらない仮定。片道25銭と1円は、手数料の違いを見るための仮の組み合わせです。

預入期間が短いほど、往復コストの重みは増します。往復コストを年率に直すと、元本比のコストを預入年数で割った値になり、片道1円の6か月ものでは年約2.67%分に当たります。

仮に1か月もので年7%の特別金利があったとします。片道15銭なら100万円で約2,641円増えますが、片道1円では約8,658円の損になります。1か月ものと片道1円の組み合わせは、為替が動かなくても元本割れします。

満期の為替が何円なら元本割れかを、預ける前に出しておく

外貨定期の結果は、満期日の相場で決まります。先ほどの例(片道15銭・年6.00%・6か月)で、満期時の相場だけを変えた受取額は次のとおりです。

満期時の相場(仲値)円での受取額100万円との差
1ドル155円約1,055,955円約55,955円の増加
1ドル150円(変動なし)約1,021,859円約21,859円の増加
1ドル148円約1,008,221円約8,221円の増加
1ドル146.8円前後約1,000,000円ほぼゼロ
1ドル145円約987,763円約12,237円の減少
1ドル140円約953,667円約46,333円の減少

※預入日の相場を1ドル150円とした仮定の計算。利息は税引後、円に戻すときの為替差益にかかる税金は含めていません。

6か月で約3.2円の円高が進めば、特別金利の利息はすべて消えます。損益ゼロとなる満期時の相場は、預入時のTTSを(1+税引後利率×年数)で割り、片道手数料を足すと求められます。

手数料が片道1円だと、この水準は約148.5円まで上がります。わずか1.5円ほどの円高で元本を下回る計算です。

円からの預入が条件の特別金利は、両替とセットで設計されている

ソニー銀行の米ドル定期の特別金利は、円普通預金から直接申し込んだ場合だけが対象です。外貨普通預金にある米ドルから預け入れると対象外で、ANAマイル付き外貨定期預金も対象外です(2026年10月時点)。

円から預ける条件があるため、特別金利を受け取る人は必ず往復の両替をすることになります。その手数料は金利とは別に差し引かれ、同行も、為替相場に変動がなくても受取額が預入額を下回ることがあると明記しています。

特別金利は当初の預入期間だけに適用されます。満期で自動継続すると、その時点の同じ期間の通常の金利に切り替わります。

中途解約は原則できず、やむを得ない場合は約定金利の10%か外貨普通預金の金利の低いほうが、預入日にさかのぼって適用されます。6か月の途中で円が必要になる資金は、この金利を前提にできません。

円定期のキャンペーン金利と並べるときは、保護の有無を別の列に書く

同じソニー銀行の新規口座向けの円定期(ウェルカム定期)は、3か月もの年2.00%(税引後年1.593%・100万円以上)です(2026年10月時点の公式サイト掲載)。数字だけを見ると、米ドル定期の年6.00%の3分の1です。

円定期の年1.593%は、満期まで持てば円で確定する利回りです。米ドル定期の年約4.37%は、為替が動かなかった場合という条件付きの数字で、両者は同じ性質の数字として扱えません。

保護の範囲も違います。円の定期預金は1金融機関ごとに元本1,000万円までとその利息が預金保険で守られますが、外貨預金は預金保険の対象外です(預金保険機構「対象預金」)。

円の預金の保護の範囲と、1,000万円を超える資金の分け方は預金保険制度(ペイオフ)の解説にまとめています。外貨預金を比べるときは、金利の列とは別に保護の有無の列を設けると、取り違えを防げます。

仮に円定期で税引後年1.593%を6か月受け取れたとすると、100万円の利息は約7,965円です。米ドル定期(片道15銭)がこれを下回るのは、満期時に約148円より円高になった場合です。円定期との差は、約2円の円高で埋まる計算です。

利息は20.315%の源泉分離、円に戻したときの為替差益は扱いが別

外貨定期の利息は、円の預金と同じく20.315%の源泉分離課税で、受け取った時点で課税が終わります。上の計算で税引後年4.781%を使ったのはこのためです。

円に戻したときに生じた為替差益は、利息とは別の所得です。一般的な外貨預金では雑所得として総合課税の対象になり、給与所得者でもほかの所得との合計によっては確定申告が必要です。

元本と利息を円に換算するレートを預入時に決めておく外貨預金(為替予約付き)の換算差益は、20.315%の源泉分離課税です(国税庁 タックスアンサーNo.1520)。

満期の米ドルを円に戻さず、同じ米ドルのまま別の銀行へ預け替えた場合、元本部分の為替差益は認識しないとする国税庁の回答があります(国税庁 質疑応答事例)。

円で使う予定のお金か、外貨のまま持つお金かで答えが変わる

半年後や1年後に円で使う予定がある資金なら、外貨定期の高い金利は円高の幅で簡単に打ち消されます。使う時期が決まっているお金は、円定期のキャンペーン金利で確定した利息を取るほうが計算どおりに残ります。

円に戻す時期を決めずに外貨で持ち続ける資金なら、両替は片道で済み、特別金利は外貨を持つ期間の上乗せとして働きます。資産の一部を外貨で持つ意味は、外貨預金で資産を分散する考え方で説明しています。

どちらの場合も、預ける前に計算する数字は3つです。

  • 預入期間を掛けた税引後の利息(年率×年数×0.79685)
  • 往復の為替手数料(片道手数料×2÷預入時の相場)
  • 損益ゼロとなる満期時の相場と、今の相場との差

3つ目の差が、6か月の間に普通に動く幅より小さいなら、その特別金利は為替の変動で消えうる上乗せです。円で確定させたい資金を外貨定期に回すかどうかは、この差の円数で判断できます。

外貨定期の金利表示を円に直すときのQ&A

Q. 外貨定期の利息は、円と米ドルのどちらで受け取りますか?

A. 利息は預けた外貨で支払われ、税金も外貨で差し引かれます。円で受け取るには利息も含めて両替が必要で、その際にも為替手数料がかかります。

Q. 為替手数料が0円の日に預ければ、往復コストはなくなりますか?

A. 預入時の手数料が0円でも、円に戻すときの手数料は通常どおりかかります。片道分が減るだけなので、損益ゼロとなる相場の計算は戻すときの手数料で行います。

Q. 満期に円安になっていたら、どれくらい得をしますか?

A. 先の例では、満期時に1ドル155円なら手取りは約5万5,955円増えます。ただし為替差益は雑所得として課税の対象になり、増えた分がそのまま手取りになるとは限りません。

Q. 円定期のキャンペーンと外貨定期の特別金利は、両方同時に使えますか?

A. 別の商品なので、それぞれの条件を満たせば資金を分けて両方に預けられます。外貨定期は預金保険の対象外で、1,000万円の保護の枠にも入りません。保護の外にある資金として預けることになります。

外貨定期は、表示金利より損益ゼロの相場で比べる

年6.00%の米ドル定期と年2.00%の円定期は、円で受け取る段階では別の種類の数字です。表示金利どうしを比べず、往復手数料を引いた手取りと、元本割れする相場を並べると、同じ物差しで比べられます。

金利・キャンペーン条件は記載時点のものです。預け入れ前に各行の最新の金利表でご確認ください。

参考・出典

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