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証券会社のMRF・預り金と銀行預金の違い|破綻時の守られ方

証券会社に置いた待機資金は、預金保険の対象に入りません。MRF(マネー・リザーブ・ファンド)も預り金も、守る仕組みは分別管理と投資者保護基金です。

分別管理とは、利用者から預かったお金や株式を、証券会社が自社の財産と分けて管理する仕組みです。分別管理が正しく行われていれば、証券会社が破綻しても、預けた資産は全額返されます。

投資者保護基金は、分別管理に不備があって証券会社が返せなかった分を、1人あたり1,000万円まで補償する制度です。預金保険の上限1,000万円とは、仕組みも数え方も違います。

証券口座のお金は、分別管理と投資者保護基金の2つで守られる

日本投資者保護基金の説明では、証券会社の破綻には、分別管理と投資者保護基金の二重の備えがあります。基金の補償を受けられるのは、分別管理で資産が返しきれなかった場合だけです。

預金保険では、銀行が破綻しても、1つの銀行ごとに預金を合算して元本1,000万円までと破綻日までの利息が守られます(預金保険機構)。証券会社に預けた資産には、預金保険とは別に投資者保護の仕組みが用意されています。

守られ方が違うのは、預かったお金の使い方が違うからです。日本証券業協会の資料によると、銀行は預金を融資に回すため、預金と自分の資産を分けておけません。

証券会社は、預かった資産を勝手に貸したり運用したりできないため、自社の財産と分けて管理しています。

預り金は信託銀行に信託され、証券会社の財産と分けられる

株式の買付けに使う前のお金や、売却代金のまま置いてあるお金を、預り金と呼びます。日本証券業協会によると、証券会社は、利用者に返すべきお金(顧客分別金)を信託銀行に信託しています。

証券会社が破綻しても、信託された分は証券会社の財産と混ざりません。預り金が1,000万円を超えていても、分別管理がきちんと行われていれば全額が返されます(日本投資者保護基金のQ&A)。

預り金には利息も分配金も付きません(SBI証券・楽天証券の公式案内)。

MRFは証券総合口座専用の投資信託で、財産は信託銀行が管理する

MRFは、短期の公社債などで運用する証券総合口座専用の投資信託です(マネックス証券の説明)。1円単位で出し入れできます。毎日決算し、分配金は月に1回まとめて再投資されます。

投資信託なので、MRFの財産は信託銀行が保管します。野村MRFの場合、運用するのは野村アセットマネジメント、財産を保管・管理するのはりそな銀行です。

分配金は預金の利息と同じ利子所得で、20.315%が源泉徴収されます(楽天証券の楽天・マネーファンドの案内)。

投資者保護基金が払うのは、分別管理に不備があって返せなかった分

投資者保護基金の補償は、1つの証券会社ごとに1人1,000万円が上限です。2つの証券会社が破綻すれば、それぞれで1,000万円まで補償されます(日本投資者保護基金のQ&A)。

株価や投資信託の値下がりで生じた損失は、補償されません。社債などの発行体が破綻して元利金が払われない場合も対象外です。FX取引や店頭デリバティブ取引の資産も、補償の対象に入りません。

補償の範囲を超えて返されなかった分は、破産手続などで証券会社に請求できます。どれだけ戻るかは、その会社の財産の状況で決まります。

銀行預金と証券口座のお金の守られ方の違い

項目銀行の定期預金・普通預金証券会社の預り金MRF
守る仕組み預金保険分別管理(顧客分別金信託)と投資者保護基金信託銀行での保管と投資者保護基金
上限の考え方1金融機関ごとに元本1,000万円と利息分別管理が正しく行われていれば上限なし分別管理が正しく行われていれば上限なし
返せなかった場合の補償上の行の範囲まで預金保険が支払う(超えた分は銀行の財産の状況に応じて支払い)証券会社ごとに1人1,000万円まで証券会社ごとに1人1,000万円まで
元本預けた元本は変わらない預けた金額のまま元本の保証なし
利息・分配金利息が付く(20.315%課税)付かない分配金が付く(20.315%課税)

出典は預金保険機構「保護の範囲」、日本投資者保護基金、日本証券業協会の資料です(2026年11月8日時点)。銀行の列は、利息の付く一般の預金の場合です。

入金したお金がMRFになるか預り金のままかは、6社で異なる

6社の扱いは次の表のとおりです(2026年11月8日時点の各社公式ページ)。

証券会社入金・売却代金の扱いMRFの年換算利回り(税引前)
SBI証券預り金。MRFの新規買付けは2011年に終了(未成年口座を除く)MRFの買付けなし
楽天証券預り金。楽天・マネーファンドへは自分で申し込む(らくらくマネー運用を設定すると、売却代金を自動で回せる)1.073%(11月2日〜8日の平均)
マネックス証券入金分は自動でMRFになる。信用取引口座などを開くと自動の買付けは止まる日興MRF 1.024%(11月5日までの直近7日間の平均)
松井証券MRFの取扱いなし取扱いなし
SMBC日興証券売却代金や分配金などを日興MRFで自動運用1.026%(11月1日〜7日の適用分)
野村證券野村MRFを扱う(入金したお金が自動でMRFになるかは、口座の画面などで確かめる必要がある)1.039%(11月7日までの過去1週間の平均)

利回りは過去の実績で、毎日変わります。同じ日興MRFでも、集計の期間が違うと数字が異なります。

換金したお金を受け取れる日も、商品で違います。楽天・マネーファンドは申し込みの翌営業日、日興MRFは12時までに換金を申し込めば当日です。

100万円を1年置くと、手取りは預り金が0円、MRF(年1.000%の仮定)が7,969円

三井住友銀行の金利は、2026年11月8日現在で普通預金が年0.500%、スーパー定期1年ものが年0.700%です。MRFは、年1.000%の分配が1年続いた場合の数字です。

置き場所年率(税引前)1年の利息・分配金税引後の手取り
証券会社の預り金0%0円0円
普通預金0.500%5,000円3,985円
1年定期預金0.700%7,000円5,578円
MRF(仮定)1.000%10,000円7,969円

表の手取りは、所得税と復興特別所得税(15.315%)、住民税(5%)を別々に計算し、円未満を切り捨てた当編集部の試算です。

普通預金年0.500%・1年定期年0.700%(三井住友銀行・2026年11月8日現在)、MRFは年1.000%が1年続いた仮定。20.315%課税後

手取りはMRFが最も多くなりますが、利回りは日々変わり、元本の保証もありません。表の4つのうち、預金保険で守られるのは普通預金と定期預金だけです。

MRFの損失補てんは認められているが、元本保証の商品にはなっていない

2014年12月施行の内閣府令の改正で、MRFの元本に損失が出たときに運用会社などが補てんしても、損失補てんの禁止に当たらなくなりました(金融庁)。

ただし、MRFは元本保証の商品ではありません(野村證券・楽天証券などの商品案内)。

MRFが値下がりした場合、投資者保護基金の補償も受けられません。基金が補償するのは、分別管理に不備があって返せなかった分だけだからです。

証券口座と連携する銀行預金は、預金保険の対象になる

証券会社によっては、銀行の預金残高を株の買付けに自動で使えるサービスがあります。

たとえば、SBI証券と連携するドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)のSBIハイブリッド預金や、楽天証券と楽天銀行のマネーブリッジです。

このお金は証券口座でなく銀行の預金です。SBIハイブリッド預金も預金保険の対象で、ドコモSMTBネット銀行の円普通預金や円定期預金と合算した元本1,000万円までが守られます(SBI証券の案内)。

同じ銀行に定期預金もあると、合わせて元本1,000万円を超えることがあります。合算の数え方は預金保険制度(ペイオフ)の解説に、連携した普通預金の金利は証券口座と連携した普通預金の記事にあります。

銀行で買った投資信託は、投資者保護基金の対象外

日本投資者保護基金の会員は証券会社だけで、銀行は会員ではありません。そのため、銀行の窓口やネットで買った投資信託は、基金の補償を受けられません。

銀行で買った投資信託も、分別管理で守られます。ただ、預金保険の対象ではないため、銀行の口座にあっても定期預金と同じようには守られません。

証券口座の待機資金についての体験談

次のような体験談があります。

  • メインの証券会社では、銀行と連携した預金にNISA用の資金を入れている。金額の小さいサブの証券口座でも、金利の付かない預り金のままにせず、連携預金かMRFに移すことを考え始めた
  • 新聞の折り込みチラシで信用金庫の定期預金の広告を見かけ、普通預金や銀行連携の預金と比べた。MRFにも関心を持ったが、投資信託なので元本の保証がない点が気になっていた

これらは個人の体験で、金利や条件は時期や証券会社によって異なります。

生活費は銀行に、投資の待機資金は証券口座に分けて置く

1年以内に使う生活費や、減っては困るお金は、預金保険の対象になる銀行の預金に置くと、守られる範囲がはっきりします。1,000万円を超える分は、銀行を分けて預けてください。

株や投資信託を買う予定のお金は、証券口座のMRFか、証券口座と連携した銀行預金に置けます。MRFは分別管理で、連携した預金は預金保険で守られます。

MRFは値下がりすることもあり、預り金のままでは利息が付きません。自分の口座で、待機資金が預り金・MRF・連携した預金のどれにあるかを一度確認してください。

数年以内に使うお金と長く投資するお金の分け方は、新NISAと定期預金の役割分担で紹介しています。

金利・利回りは記載時点のものです。預け入れ前に、各行の最新の金利表と各社の公式案内でご確認ください。

出典にした公的機関などの資料

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