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退職金を定期預金で活用するには?専用定期・セット商品の落とし穴

長年勤め上げた対価である退職金は、毎月の給料やボーナスと比べてもまとまった金額になります。充実したセカンドライフのため、あるいはお子さんやお孫さんのためにも、有意義に、そしてできるだけ目減りさせずに活用したいものです。この記事では、退職金の預け先としてよく目にする「退職金専用の定期預金」と、「投資信託とセットで高金利になる退職金プラン」の仕組みと注意点を、2026年7月時点の実例で整理します。

目次

退職金専用の定期預金とは

退職金は高額な資金になるため、銀行や証券会社といった金融機関は、預入先・資産運用先として選んでもらいやすいよう、退職金専用の商品を用意しています。なかでも、元本が保証される定期預金は退職金の預入先として根強い人気があり、退職金専用の定期預金(退職金特別プラン)を提供している銀行は数多くあります。まずは取引のある銀行の商品一覧を確認してみるとよいでしょう。

気をつけたいのは、投資信託や外貨預金などのリスク商品とセットで申し込むことを条件に、通常では考えられない高い金利が付く「セット商品」の存在です。セット商品すべてを否定するわけではありませんが、利用するなら必ずそのリスクと手数料を理解しておく必要があります。

ケーススタディ:投資信託とセットで定期預金が高金利になる仕組み

退職金の獲得に力を入れている業態に信託銀行があります。ここでは大手信託銀行である三井住友信託銀行の退職金プランを例に、その仕組みを確認しましょう。同行の「退職金特別プラン」には、投資信託などのリスク商品とセットにする「投資運用コース」と、投資商品が不要な「定期預金コース」があります。

投資運用コースは、投資信託(または三井住友信託ファンドラップ)とスーパー定期を同時に申し込み、投資商品の割合に応じて定期預金に特別金利が適用される仕組みです。2026年7月時点では、金利適用期間2026年4月1日〜9月30日のプランとして、投資商品の割合が大きい「運用50タイプ」で当初3か月もののスーパー定期が年12.00%(税引前)、投資割合を抑えた「運用20タイプ」で年4.00%(税引前)といった特別金利が案内されています。いっぽう投資商品が不要な「定期預金コース」はスーパー定期3か月ものが年2.20%(税引前)です(いずれも当初3か月のみ適用・満期後は店頭表示金利に戻ります。金利・条件は改定されるため、最新の内容は必ず公式サイトでご確認ください)。

投資商品の割合が大きいほど定期預金の特別金利は高くなるが、その分だけ投資信託の手数料と元本割れリスクを負う(2026年7月時点・金利適用期間2026年4月1日〜9月30日)。

1,000万円で申し込んだ場合のシミュレーション

わかりやすく、退職金1,000万円で投資運用コース(運用50タイプ)を申し込み、定期預金の割合を最大(500万円)にした場合を見てみましょう。利息には20.315%(所得税・復興特別所得税・住民税)の税金がかかります。

<定期預金500万円を年12.00%(税引前)・3か月もの(90日)で預け入れた場合の受取利息>

500万円 × 年12.00% × 90日 ÷ 365日 = 約147,900円(税引前)
→ 税引後の受取利息は約117,900円

3か月で約12万円弱の利息は、たしかに通常の定期預金では得られない水準です。問題は、もう半分の500万円で申し込む投資信託のコストとリスクです。

投資信託の手数料と元本割れリスクに注意

投資信託は購入時に「購入時手数料(申込手数料)」がかかる場合があります。近年は手数料無料(ノーロード)の商品も増えていますが、依然として最大で年3.30%(税込)程度の購入時手数料がかかる投資信託も少なくありません。500万円分を申し込むと、手数料は次のようになります。

<投資信託500万円を申し込んだ場合の購入時手数料>

購入時手数料が2.20%(税込)の場合:500万円 × 2.20% = 110,000円
購入時手数料が3.30%(税込)の場合:500万円 × 3.30% = 165,000円

つまり、定期預金で受け取れる特別金利の利息(税引後 約117,900円)と同じかそれ以上の金額が、投資信託の購入時手数料(11万〜16.5万円)で消えてしまうことがあるのです。さらに投資信託には保有中も毎年かかる「信託報酬(運用管理費用)」があり、株式・債券などの値動きによって投資した500万円が元本割れする可能性もあります。高金利の定期預金の利息だけを見て判断すると、思わぬコストやリスクを見落としかねません。

比較の観点投資信託とのセット(投資運用コース)定期預金のみ(定期預金コース)
定期預金の金利(3か月)運用50タイプ 年12.00%・運用20タイプ 年4.00%(税引前)年2.20%(税引前)※投資割合ゼロ
投資信託・ファンドラップの購入必須(タイプに応じた割合以上)不要
元本割れリスクあり(投資商品部分)なし(定期預金は元本保証)
かかる費用投資商品の購入時手数料・信託報酬など原則なし
向いている人リスクを理解し運用も行いたい人元本保証で確実に置きたい人

※上記は2026年7月時点で公式サイトに掲載された仕組みの一例です(金利適用期間2026年4月1日〜9月30日)。各コースの金利・条件は時期により改定されます。特別金利が適用されるのは当初3か月のみで、これらの退職金専用定期は原則として中途解約ができない点にも注意しましょう。

セット商品は一概に「悪」ではない

「定期預金だけでは退職金が塩漬けになってもったいない」「多少のリスクを負ってでも将来に備えて増やしたい」「毎月分配型の投資信託で分配金を受け取りたい」といったニーズがある人にとって、こうしたセット商品は魅力的な選択肢になり得ます。一概に悪いものではありません。投資割合を抑えた「運用20タイプ」のように、リスク商品への配分を小さくできる選択肢が用意されている場合もあります。

一方で、「長く勤め上げた退職金は、目減りしない元本保証で安全に置きたい」と考える人にとっては、高金利の数字だけが先行して、投資信託のリスクや手数料を見落とす危険があります。その場合は、投資信託が不要な「定期預金コース」や、退職金専用ではないネット銀行の通常の定期預金・キャンペーン金利を比較するほうが向いています。たとえばSBI新生銀行のように、店舗とオンラインの両方に対応し、円定期預金の金利優遇を行っている銀行もあります(適用条件・金利は公式でご確認ください)。

銀行も金融庁の認可を受けて営業する企業です。提示された金利の高さだけでなく、自分の資産運用ニーズやお金に対する考え方に合っているかを基準に、商品性をしっかり理解したうえで預け先を選びましょう。

よくある質問(FAQ)

退職金プランの高金利は満期後も続きますか?

いいえ。特別金利が適用されるのは当初の一定期間(3か月など)だけで、満期後に自動継続されると、その時点の通常の店頭金利に戻ります。継続後の金利を前提に考えないようにしましょう。

元本保証で退職金を預けたい場合は?

投資信託が不要な「定期預金コース」や、ネット銀行の通常定期・キャンペーン金利が選択肢です。1金融機関ごとに元本1,000万円+利息まで預金保険(ペイオフ)で保護されるため、まとまった額は複数行に分けると安心です。

セット商品で損をしないためのチェックポイントは?

①投資信託の購入時手数料・信託報酬がいくらか、②高金利が適用される期間と対象金額、③投資信託の元本割れリスク、の3点を必ず確認しましょう。定期預金で受け取れる利息(税引後)と、投資信託のコストを並べて比較することが大切です。

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