普通預金の金利が定期預金を上回るのは、証券口座との連携や残高などの条件を満たした人にだけ、銀行が上乗せ金利を付けているからです。
条件なしの普通預金の金利は、今回確認した銀行ではいずれも、同じ銀行の1年定期と同じか、それより低い金利でした。上回るのは、条件を満たした場合に限られます。
2026年10月24日に5行の公式の金利表を確認したところ、条件を満たした普通預金が同じ銀行の店頭の1年定期を上回ったのは2行でした。ただし、その2行でもネット専用の定期や6か月ものには届きません。
上回るかどうかは、どの定期と比べるか、条件と上限額をいくつ満たせるかで変わります。普通預金の金利は変動金利で、定期預金は預け入れた時の金利が満期まで続く点も違います。
普通預金の金利が上がる条件は、証券口座・残高・口座の種類の3通り
普通預金の優遇金利は、誰でも受け取れる店頭の金利に、条件を満たした人の分だけ上乗せする仕組みです。条件は大きく分けて3通りあります。
- グループや提携先の証券会社の口座と連携する(楽天銀行のマネーブリッジ、SBI新生銀行のSBIハイパー預金など)
- 銀行や証券会社に預けている残高、給与の受け取りなどで決まるランクに入る(auじぶん銀行のプレミアム金利優遇、MATSUI Bankのランク別金利)
- 普通預金とは別の口座や支店を使い、決まった残高までに高い金利を付ける(GMOあおぞらネット銀行のハビト支店口座)
証券口座と連携する預金の多くは、株や投資信託を買うときの代金に自動で使われます。SBI新生銀行は、SBIハイパー預金の残高がSBI証券の買付余力に自動で反映され、売却代金も自動で戻ると案内しています。
金利の表示の区分そのものは、店頭表示金利・特別金利・優遇金利の違いの記事で説明しています。普通預金の優遇金利も、店頭表示金利に条件つきの上乗せが加わる点は同じです。
5行の普通預金と1年定期を同じ日に比べた結果
2026年10月24日に、証券口座との連携や残高で普通預金の金利が上がる5行について、公式の金利表とプログラムの案内を同じ項目で確認しました。金利はすべて税引前の年率です。
| 銀行・口座 | 条件なしの普通預金 | 条件を満たした普通預金 | 同じ銀行の1年定期 | 1年定期との比較 |
|---|---|---|---|---|
| SBI新生銀行(SBIハイパー預金) | 年0.500%(ダイヤモンドステージは年0.550%) | 年0.600%(SBI証券口座と連携する専用の預金) | 店頭の円定期 年0.500%/ネット専用・30万円以上 年1.250% | 店頭の定期より高く、ネット専用の定期より低い |
| 楽天銀行(マネーブリッジ) | 年0.40% | 年0.48%(楽天証券と連携・残高1,000万円まで。超えた分は年0.42%) | 年0.50% | 定期より低い |
| auじぶん銀行 | 年0.410% | 最大年0.610%(au PAY・au PAY カード・証券会社と連携)/年0.750%(プレミアムステージ) | 年0.500% | 定期より高い。6か月定期の年1.270%より低い |
| GMOあおぞらネット銀行 | 年0.400% | 証券コネクト口座 年0.410%(GMOクリック証券と連携)/ハビト支店口座 100万円以下の部分 年0.800% | 年0.510% | 証券コネクト口座は低く、ハビト支店口座の100万円以下の部分は高い |
| MATSUI Bank(所属銀行はドコモSMTBネット銀行) | 年0.61%(レギュラー) | 年0.72%(ゴールド)/年0.85%(プラチナ) | MATSUI Bankのページに定期預金の掲載なし | 比べる定期がない |
※当編集部調べ(各行の公式の金利表・プログラムの案内、2026年10月24日確認)。表示の時点はSBI新生銀行・auじぶん銀行の定期・楽天銀行の定期が10月24日、楽天銀行・GMOあおぞらネット銀行・MATSUI Bankの普通預金が10月1日、auじぶん銀行の普通預金が8月1日です。
証券口座と連携するだけの条件で1年定期を上回ったのは、SBI新生銀行の店頭の定期と比べた場合だけでした。楽天銀行とGMOあおぞらネット銀行の証券連携の金利は、同じ銀行の1年定期をわずかに下回っています。
普通預金が定期を上回るかどうかは、比べる定期で変わる
普通預金の金利が高い銀行では、定期預金は要らないと考えがちです。実際には、同じ銀行の中でも定期の種類によって結果が逆になります。
SBI新生銀行のSBIハイパー預金(年0.600%)は、店頭のパワーフレックス円定期の1年(年0.500%)より高い一方、インターネット専用で30万円以上のパワーダイレクト円定期の1年(年1.250%)の半分以下です。
auじぶん銀行も、プレミアムステージの普通預金(年0.750%)は1年定期(年0.500%)を上回りますが、6か月定期(年1.270%)には届きません。期間の短い定期のほうが金利が高い並び方になっています。
同じ銀行で店頭とネットの定期の金利が違う理由は、店頭とネットの定期預金金利の差の記事で紹介しています。普通預金と比べるときは、その銀行で最も条件の合う定期を相手にしてください。
連携の設定だけで付く金利と、残高が必要な金利がある
証券口座との連携による優遇は、投資信託や株を買わなくても、設定が済んでいれば付くものが多くあります。楽天銀行のマネーブリッジは、前月末までに設定を終えた人に、当月1か月間の優遇金利を適用します。
楽天銀行の案内の例では、1月10日に設定すると2月1日から優遇金利になり、2月15日に解除すると3月1日から通常の金利に戻ります。auじぶん銀行の証券会社との連携も、前月末の時点で判定します。
一方、残高で決まる優遇は、資産をある程度持っていないと上の段階には入れません。MATSUI Bankでは、毎月の最終営業日の証券残高で2か月後のランクが決まり、1,000万円以上でプラチナ(年0.85%)になります。
MATSUI Bankは、新しく口座を開いた人に開設日から翌々月末までプラチナを、給与の受取口座に指定した人にゴールドを適用するとしています。
auじぶん銀行のプレミアムステージは、総資産残高1,000万円以上のほか、取引に応じたスタンプの獲得などでも条件を満たせます。
auじぶん銀行では、プレミアム金利優遇を受けている間は、au PAYや証券会社との連携による上乗せは付きません。上乗せは重ねて足し合わせられるとは限らないため、どの組み合わせで何%になるかを各行の案内で確認してください。
上乗せには上限額があり、普通預金の金利は変動する
優遇金利には、付く残高に上限があるものがあります。楽天銀行のマネーブリッジの年0.48%は残高1,000万円までで、超えた部分は年0.42%です。
GMOあおぞらネット銀行のハビト支店口座は、年0.800%が付くのは100万円以下の部分で、超える部分は年0.400%になります。上限を超えて預けるほど、全体の平均の金利は下がります。
普通預金の金利は変動金利で、預けたあとも変わります。楽天銀行は、2026年11月2日から普通預金を年0.50%に、マネーブリッジの優遇を年0.58%に引き上げると公表しています。
auじぶん銀行とGMOあおぞらネット銀行も、11月1日から普通預金の金利を年0.10%ずつ引き上げる予定です。上の表の普通預金の金利は、引き上げ前のものです。
金利が上がるときは、普通預金はその都度上がった金利になります。定期預金は預け入れた時の金利が満期まで続くため、金利が下がるときは定期のほうが有利です。この先どちらに動くかは、預ける時点では分かりません。
300万円を1年置いたときの手取りの差
表の金利が1年間変わらなかったと仮定し、300万円を1年間置いた場合の税引後の利息を、当編集部で計算しました。源泉分離課税20.315%を差し引いています。
| 預け先と金利(税引前) | 税引前の利息 | 税引後の利息 |
|---|---|---|
| SBI新生銀行 SBIハイパー預金 年0.600% | 18,000円 | 約14,344円 |
| SBI新生銀行 店頭の円定期1年 年0.500% | 15,000円 | 約11,953円 |
| SBI新生銀行 ネット専用の円定期1年 年1.250% | 37,500円 | 約29,882円 |
| 楽天銀行 マネーブリッジ 年0.48% | 14,400円 | 約11,475円 |
| 楽天銀行 定期1年 年0.50% | 15,000円 | 約11,953円 |
| auじぶん銀行 普通預金(連携で最大)年0.610% | 18,300円 | 約14,583円 |
| auじぶん銀行 円定期1年 年0.500% | 15,000円 | 約11,953円 |
※当編集部試算。普通預金は1年間同じ金利が続くものとし、利払いの時期による複利の効果は含めていません。国税と地方税をそれぞれ円未満切り捨てで計算しています。
楽天銀行では、1年定期とマネーブリッジの手取りの差は1年で約478円です。この差のために1年間お金を動かせなくなる点を、どう考えるかで選び方が変わります。
SBI新生銀行では、ハイパー預金は店頭の定期より約2,391円多くなる一方、ネット専用の定期とは約15,538円の差があります。1年間使わないと決められるお金なら、普通預金に置くより定期のほうが手取りは多くなります。
自動で証券口座に使われる預金と、預金保険の数え方
証券口座と連携する預金は、買い付けの代金に自動で充てられます。生活費や1年後に使うお金を同じ口座に置くと、投資の注文でそのお金まで使ってしまうおそれがあります。使う予定のあるお金は、別の口座に分けておいてください。
SBIハイパー預金も楽天銀行の普通預金も預金保険の対象で、普通預金と定期預金は1つの銀行ごとに合算して元本1,000万円と破綻日までの利息が保護されます。
連携のための専用の預金も、同じ銀行のほかの預金と合わせて数えます。普通預金の金利に合わせて預ける金額を増やすと、定期と合わせた合計が1,000万円を超えることがあります。
MATSUI Bankの預金は、所属銀行であるドコモSMTBネット銀行の預金です。同行は、提携先のサービスの口座と通常の支店の口座の円預金を合算して保護するとしています。
保護されるのは、合算した元本1,000万円までとその利息です。ドコモSMTBネット銀行にも口座がある人は、両方を合わせた金額で考えてください。
名寄せの仕組みと1,000万円を超えたときの扱いは、預金保険制度(ペイオフ)の解説にあります。高い普通預金の金利に合わせて1行に集めると、上限を超えやすくなります。
定期預金を見直した人の体験談
当編集部が確認したところ、次のような体験談がありました。
- 数年前に組んだ金利の低い定期について、残りの期間と中途解約の条件を自分で計算し直した。普通預金に移したほうが有利と分かり、満期を待たずに解約した。
個人の体験で、結果は残りの期間や中途解約利率によって変わります。中途解約利率は、普通預金の金利よりずっと低いことがあります。
楽天銀行の中途解約利率は、預入期間に応じて約定利率の5%から25%と定められています。年0.50%の定期なら最も低い区分で年0.025%で、普通預金の年0.40%を大きく下回ります。
連携した普通預金と定期預金の使い分け
普通預金と定期のどちらに置くかは、そのお金をいつ使うかで分けると決めやすくなります。金利の差を比べる前に、使う時期を決めておく必要があります。目安は次のとおりです。
- いつ使うか分からないお金や、投資の待機資金は、条件を満たした普通預金に置く。中途解約で利息が減る心配がない。
- 1年以上使わないと決めたお金は、同じ銀行や他行の定期のうち、ネット専用や短い期間のものも含めて最も条件のよい定期と比べる。
- 優遇の条件と上限額を満たせるかを先に調べる。条件を外れると、翌月から通常の金利に戻る。
すでに預けている定期を普通預金へ移すかどうかは、中途解約利率と残りの期間で決まります。計算の手順は定期預金の預け替えの損益分岐の記事で紹介しています。
金利と優遇の条件は記載時点のものです。預け入れ前に各行の最新の金利表と優遇の案内でご確認ください。