1915年に募集された100年定期預金は、年6.0%の複利で2015年の満期に元本の339倍になったとされます。それでも通貨の価値が数千分の1になったとされる100年の間に、お金の重みは大きく目減りしました。インフレの怖さを知る題材として、2026年10月時点の預金金利と物価の数字を加えて読み直します。
この100年定期預金を募集したのは新潟貯蓄銀行で、大正天皇の即位の大礼を記念したものとされています。同行の流れをくむ第四銀行は、2021年1月1日に北越銀行と合併し、現在は第四北越銀行です。
年6%の複利で100年、100円は3万3,900円に
預入期間は100年、金利は年6.0%の複利でした。1.06を100回掛けると約339になるため、100円は満期に約3万3,900円になる計算です。数字だけを見ると、相続した人が大きく得をしたように見えます。
当時の100円はいまの100万円ほどの重み
大正初期の小学校教員の月給は10〜20円ほどと言われ、100円は月給の5か月分以上にあたる大金でした。仮にいまの月給を20万円とすると、当時の100円は100万円前後の重みがあったことになります。
そう考えると、100万円に相当するお金が100年かけて3万3,900円になったとも言えます。名目の金額は339倍でも、買える物の量で見れば大きく減っていたわけです。
通貨の価値が下がるのがインフレ
この100年には二度の世界大戦、敗戦と焼け野原からの復興、大きな地震、バブルの崩壊がありました。とくに終戦直後の数年間は激しいインフレが続き、円の価値はここで大きく下がっています。
物価が上がるとき、同じ金額で買える物は少なくなります。年2%のインフレが続けば、預金の名目額が変わらなくても、買える量は毎年およそ2%ずつ減っていきます。
2026年のいま、預金金利と物価を比べると
マイナス金利の時代には、大手行の定期預金金利はほぼゼロでした。日本銀行は2024年3月にマイナス金利を解除し、2026年9月には政策金利を1.25%程度まで引き上げています。預金金利も上がり、三菱UFJ銀行のスーパー定期は1年で年0.50%(税引前・2026年10月9日現在)です。
一方、総務省の消費者物価指数では、2026年8月の総合指数は前年同月比1.9%の上昇でした。年0.50%の利息は税引後で年0.398%ほどなので、物価の伸びを1.5ポイントほど下回っています。金利が戻っても、預金の実質的な価値は少しずつ目減りしているのが現状です。
| 比較の観点 | 数値 | 時点・出典 |
|---|---|---|
| 大手行の1年定期(税引前) | 年0.50% | 三菱UFJ銀行スーパー定期・2026年10月9日現在 |
| 同・税引後(20.315%差引) | 年0.398% | 上記からの計算値 |
| 消費者物価指数(総合) | 前年同月比1.9%上昇 | 総務省・2026年8月分 |
預金を守りながらインフレに備える
100年定期ほど極端なことはいまの日本では起こりにくいものの、物価が上がれば預金の価値が削られるという構造は同じです。生活資金や近く使うお金は元本が守られる預金に置き、金利の高い預け先を選んで目減りを小さくするのが基本になります。
利息にかかる税金の内訳は預金利息の税金20.315%の内訳と手取り早見表で、預金以外の元本確保型の選択肢は個人向け国債と定期預金の比較で整理しています。政策金利と預金金利の関係は日本銀行の役割と利上げで預金金利がどう動くかをご覧ください。
金利・キャンペーン条件は記載時点のものです。預け入れ前に各行の最新の金利表でご確認ください。