退職金を定期預金で活用するには?専用定期預金・セット商品の落とし穴

長年勤めて来た企業を退職し、退職金をどのように扱うべきか悩んでいる方は多いと思います。10年・20年、時として30年以上もの長い間勤め上げてきた対価と言える退職金。充実したセカンドライフのため、お子さんやお孫さんのためにも有意義に活用したいものです。

 

退職金は、毎月の給料や年に1回~数回支払われる賞与(ボーナス)などと比較しても、高額の資金になりますので、銀行や証券会社といった金融機関は、退職金の預入先・資産運用先として選んでもらいやすいように専用商品を用意しています。退職金に限った話ではありませんが、元本保証の定期預金はその預入先として高い人気を誇りますので、退職金専用の定期預金を提供している銀行は数多く存在しますので、一度、取引のある銀行の商品一覧を確認してみると良いでしょう。気を付けていただきたいのは、リスクを伴う商品、例えば投資信託や外貨預金などとセットで申し込むことで、異常な程高い金利で定期預金の預け入れができるセット商品の存在です。セット商品全てを否定するわけではありませんが、そのようなセット商品を利用する場合には、必ずそのリスクを理解する必要があります。

 

この記事では退職金の預入商品としてよく目にする投資信託+定期預金のセットプランの構成について確認したいと思います。

 

ケーススタディ 投資信託とセットの申し込みで定期預金の金利が優遇される

退職金の獲得(退職した人を顧客にしたい)に力を入れている業態の金融機関に信託銀行があります。ここでは日本最大の信託銀行である三井住友信託銀行のセット商品でその内容を確認してみましょう。

上記は三井住友信託銀行の退職金専用の定期預金セットプランです。要は「投資信託」と「定期預金」のセットプランなのですが、ちょっと条件や選択肢が多くてわかりにくいので、ここでは「図の右下の”外貨預金”」、「図の左下のファンドラップ」のことはいったん無視してみましょう。

そうすると、①投資信託と定期預金の合計金額は500万円以上であること、②そのうち、半分以上の金額は投資信託に申し込む、という2つの条件を満たすと、円定期預金3か月もの金利年7%、6か月もの年3.6%、1年もの年1.9%(すべて税引前金利)の定期預金を利用できるというセット商品ということになりますね。

ここではわかりやすく1000万円の退職金でこの商品を申し込んだ場合にどのようになるかをシミュレーションしてみましょう。

もちろん、①の条件は満たしていますね。せっかく金利が驚異的な定期預金なので②の範囲のうち、もっとも定期預金の割合が多くなるように500万円を定期預金とした場合で確認してみましょう。

 

<定期預金500万円を預け入れた場合の受取利息>

3か月もの 金利 年7%(税引前)

計算式:500万円×5.577%(税引後)×3か月÷12か月=約69,713円

6か月もの年3.6%(税引前)

計算式:500万円×2.868%(税引後)×6か月÷12か月=約71,700円

1年もの年1.9%(税引前)

計算式:500万円×1.514%(税引後)×12か月÷12か月=約75,700円

 

わずかですが1年もの定期預金が受取利息が多くなりますね。ざっくりと言えば7万円の利息を受け取ることができるということになります。

さて、残りの半分の500万円は投資信託を申し込むことになります。投資信託は数多くありますので、そこから選ぶことになります。投資信託は「株式」「債券」など様々な種類があります。元本保証ではありませんので、増える可能性もあれば元本を割れて減ってしまう可能性もあります。どの投資信託が良いかの議論に入ってしまうと話が迷宮入りしてしまいますので、ここでは、投資信託の手数料について確認しておきましょう。

投資信託は購入時に銀行に「申し込み手数料」を支払う必要があります。申し込み手数料無料の投資信託も増えてきていますが、未だに2.16%~3.24%の申し込み手数料を支払う必要のある投資信託が一般的です。500万円の投資信託を申し込む場合、この申し込み手数料がいくらになるか確認しておきましょう。

 

<投資信託500万円を申し込んだ場合に支払う手数料>

投資信託申し込み手数料が2.16%の場合

500万円×2.16%=108,000円

投資信託申し込み手数料が3.24%の場合

500万円×3.24%=162,000円

 

10万円以上の申込手数料がかかる計算になりますね。あれ・・・、定期預金で受け取れる利息よりも多い金額の手数料がかかってしまうことがわかりますね。

 

もちろん一概に悪とは言えないセット商品

「定期預金だけではせっかくの退職金が塩漬けになってもったいない」「多少のリスクを負ってでも将来に備えて退職金を増やしたい」「毎月分配型の投資信託を利用して毎月お小遣いのような形で分配金を受け取って生活したい」などといった金融ニーズのある人にとって、このセット商品は非常に魅力的な商品ですので、一概に悪とは言えません。ただし、「長い期間の勤め上げてきた成果とも言える退職金は目減りすることのない元本保証が良い」と考えている人にとって、投資信託とのセット商品は、高金利に惑わされる可能性があります。

 

銀行は社会的に果たしている責任も大きく、金融庁から認可を受けて営業しており、一般企業とは異なる面があるとはいえ銀行も企業。つまり利益を追求する営利団体です。ご自分の金融ニーズ・資産運用ニーズ・お金に関する考え方にマッチしない商品を選んでしまうことの内容に、しっかりとその商品性を理解して取引銀行を選ぶようにしましょう!

 

 


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