日本銀行の3つの役割と目的・目標をわかりやすく解説

日本銀行は、日銀(にちぎん)とも呼ばれ日本における中央銀行です。日本銀行(中央銀行)には「発券銀行」「政府の銀行」「銀行の銀行」の3つの役割があると言われています。確かに日本銀行がこの3つの役割を担っているのは間違いではありません。この3つの役割の細かな説明については、教科書や他のサイトにお任せするとして、このコラムでは別の観点から日本銀行の目的やその役割について解説してみたいと思います。

 

この数年、日本銀行や日銀の黒田総裁が報道やニュースに登場する機会が多くなっています(少なくとも筆者はその印象があります)。当然、黒田総裁になって日銀の役割が変わったわけでもありませんので、黒田総裁以前の日銀総裁の名前は出てこない人が多いかもしれませんね。黒田総裁はマスコミなどの報道機関をかなり上手に活用しながら、日銀の果たすべき役割(黒田総裁が実現したいこと)を達成しようとしている印象があります。さて、話を戻してこの数年、日銀が各種報道に登場するときの話題の中心はなんでしょうか?「発券銀行としての話?」「銀行の銀行としての話?」「銀行の銀行としての話?」、もちろんこの3つの役割(機能)が絡んでいることを否定しませんが、いずれも話題の中心とは言いにくいと思います。

 

よく聞く(聞いた)言葉は、「大規模金融緩和」・「黒田バズーカ」・「為替介入」・「マイナス金利」・「イールドカーブコントロール」。これらの話題の中心は、日本銀行法に定められてる日銀の役割(目的)である「通貨及び金融の調節」に関するものと言えます。冒頭で「別の観点から日本銀行の目的や役割を解説したい」と記載しましたが、このコラムではこの「通貨及び金融の調節」を中心に記事を進めていきたいと思います。

 

まず最初に日本銀行の目的や役割を定めている日本銀行法からです。わざわざ日本銀行の為に法律があるんです。

 

日本銀行法

日本銀行は「日本銀行法」と言う法律によってその目的や理念が定められています。日本銀行法は2017年8月時点で10章まで章立てされ、日本銀行に関する定義やルールが細かく定められていますが、第1章の「総則」に日本銀行の果たす役割が定義されています。

 

日本銀行の目的

日本銀行法はまず最初に日本銀行の目的を定義するところからスタートしています。日本銀行の目的として定義されているのは、たったの2つの文章です。(以下、原文そのまま)

  1. 日本銀行は、我が国の中央銀行として、銀行券を発行するとともに、通貨及び金融の調節を行うことを目的とする。
  2. 日本銀行は、前項に規定するもののほか、銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資することを目的とする。」

 

かみ砕くと「①銀行券を発行する」「②通貨及び金融の調節を行う」「③金融機関の資金決済の円滑化を図る」「④金融機関の資金決済の円滑化を図り信用秩序を維持する」の4つの目的が定義されています。よく言われる3つの役割に照らし合わせると、①は「発券銀行」、③と④は「銀行の銀行」を示していると言えるでしょう。(もう1つの役割として言われる「政府の銀行」は、国のお金(税金や社会保険料など)を預かったりする業務を担っていることを示しているわけですが、この日本銀行法上の日本銀行の目的からはその役割を担っているかどうかはわかりにくいですね。)

 

繰り返しですが、このコラムで解説したいのは「②の通貨及び金融の調節を行う」についてです。日本銀行法では前述に続いて、以下のように定められています。

 

日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。

 

かみ砕くと、「通貨(円)と金融を調節する役割を与えるけど、テキトーに調節しちゃだめだよ。調節する時は、常に「物価の安定」を意識しなければならないし、それが「国民経済の健全な発展」に繋がるんだという意識と考え方で調節しないとダメだよ。」ということです。

 

ようやく具体的な言葉になってきました。「物価を安定させて日本経済が発展するよう頑張る」という役割と責任が日本銀行にある、ということですね。

 

物価の安定とは

「物価の安定」もちょっとあいまいですね。何をもって「安定」していると言うのかは時代によって異なったりもします。話が飛びますが日銀総裁の任期は5年です。黒田さんが日銀総裁になったのは今から4年前の2013年です。(今でもそうですが)当時日本はデフレ(物価の下落)に苦しんでいました。そんな中で着任した黒田総裁が、着任から現在(離任)まで黒田総裁が目指していることを一言で表現するなら、「物価の安定≒前年比2%の安定的インフレ≒消費者物価指数+2.0%」です。

 

つまり、全ての日銀の政策は「物価の安定」を目的としているわけです。その目的自体が否定されているわけではなく、賛否両論は、「大規模金融緩和」・「黒田バズーカ」・「為替介入」・「マイナス金利」・「イールドカーブコントロール」などの個々の施策が物価の安定に向かう最善の選択肢ではないのではないか、と言う個々の施策に集中しています。

次に2%の安定的インフレが実現した場合のことを少し想像してみましょう。

2%の安定的インフレが続いた場合・・・

仮に前年比2%のインフレが安定的に10年続いたら、今100円で売っているものは10年後にいくらになるでしょうか?

今:100円

1年後:102円

2年後:104.04円

3年後:106.12円

4年後:108.24円

5年後:110.41円

6年後:112.62円

7年後:114.89円

8年後:117.17円

9年後:119.51円

10年後:121.90円

 

今、100円で売られているものが120円以上で売られるようになることがわかります。机の引き出しに10年間100円玉がおいてあるとすると、100円は100円のままですが、今まで買えていたものが買えなくなって、お金の価値が20%下がるわけですね。

この状態に持っていく事が今の日銀の目的で、その為に様々な金融政策を行っているというわけです。もちろん、単に物価だけがあがって、収入があがらなければ「国民経済に資する」とはとても言えませんので、他にも様々な施策(日銀だけでなく政府や他の省庁も)が複雑に絡み合っているわけですね。

 

ちなみに、今100万円持っているとして10年後に20%価値が減ってしまうとすると、100万円を最低限10年後に120万円にしておかないと「今の価値を維持できなかった」ことになってしまいます。そうならないように定期預金・株式や債券と言った金融商品や不動産の購入(地価の上昇を期待)などの「お金に働いてもらう」ということが必要になってくるわけです。

 

思ったよりも長くなってしまいました。また、できるだけわかりやすくと思いながらわかりやすい記事になった自信はあまりありませんが今回のコラムはここまでとさせていただきます。

 

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